生活保護受給者の調剤薬局利用を1カ所に限定する厚労省案は理屈としては正解や!
しかし,僕はハッキリとこの案を反対する。
2017年5月6日の毎日新聞の記事を読んだだろうか?
要約を書くと次のようになる
生活保護受給者の調剤薬局利用を1か所に限定!厚労省が検討
- 同じ症状で複数の医療機関を受診し,同じ薬を複数の薬局から受け取るのを防ぎ,生活保護費を節減する。
- 医療費削減生活保護受給者が全国最多の大阪市などで6月にも試行し,医療費削減効果や課題を検証する。
2015年度には全国で4650人が同じ病気で複数の医療機関を受診し,別の薬局から重複して薬を受け取っていた。
薬局が限定されれば,受給者にとっては多重投与による健康被害を避けられるメリットがある一方,利便性の低下が予想される。
厚労省は,生活保護受給者が自己負担額ゼロで薬を受け取れる「調剤券」を自宅近くなどの決められた薬局でしか使えないようにすることを想定している。市販薬などを購入する場合の薬局は対象外。
必要な薬がすべて1か所で手に入るか?などの課題を秋までに検証して来年度以降は全国に広げることを検討する。
生活保護受給者は約214万人。
医療費は15年度実績で1.8兆円かかっており,保護費全体3.7兆円の半分を占めている。
出典:生活保護者:調剤薬局を1カ所に限定へ 厚労省検討 – 毎日新聞 [/box]
こんな記事や。これについて個人的に思う事を書いてみる。
1. 薬局を1つに絞る案の理屈には基本的に賛成や
記事を読む限りは,「ええやんええやん,それ,ええやん!」と思えるんやわ。
- 自己負担額ゼロなのを良いことに,複数の医療機関で重複して薬を受け取るなんて「けしからん」から
- 保護費3.7兆円のうち,1.8兆円が医療費(48.6%)って異常やと思う。抑制は必要や
こうした印象を受けるからね。
すなおに記事を読んだまま感じる通りを書けばこうなるわ。
でもね・・・
2. 4650人が重複して薬をもらってた,ってどこからわかったの?
同じ病名で重複して複数の医療機関を受給して,同じ薬をもらっている事がわかるんなら,
- 重複して受給した分を保護費から引くなどのペナルティを課せばええやん。ほんなら利便性は失わへんで?
- 医療機関にも,重複して受診しているからレセプトを返戻しまっせ!って警告を出せばええんとちゃうん?
こう思わへん?
4650人が重複して薬をもらっていたデータはどこから取ったんですか?
この点について明らかにしてほしいなぁ。
3. 調剤薬局にとってもこの1カ所縛りって実はキツい!施設在宅業務において時間・労力のロス多し!
これが,今回の案に対する僕が思う懸念材料であり,この案に100%賛成できない理由や。
例えば,薬局から片道30分程かかる距離に施設があったとしよう。
施設入居者の場合,重複しての受診・投薬はありえない。
施設入居者が自分の意志でもって,往診医以外の病院を受診する「他院受診」を選択した場合に問題が発生するねん。こういう患者さんの場合はある程度しっかりしているので,もらった薬を自己管理することは少なくない。
認知機能が低下しているなど,自己管理などできない入居者さんの場合は往診医と訪問薬局が服薬管理を100%カバーできている。
この状況が今回の厚労省の案を適用した場合に崩れてしまう。
他院に受診した入居者さんは訪問薬局が薬を持ってくるのを「待たなければならない」ようになるのだ。薬局も,患者が自己管理できている薬で今まで自分で薬局からもらって帰ってくれていたものを届けに行く必要が出てくる。定期配薬の日と,こうした患者さんの受診日が重なるわけではない。
単純に,薬局と患者に負担が増えるだけにならないか?コレ。
やし,重複受診も重複投薬も受けていないのであれば,こうした制約を受けるのは「個人の自由」を制限してしまうのではないだろうか?
施設入居者に関しては,今回の案からは除外する。ただし,重複投薬が認められる場合には医療機関へのペナルティとしてレセプトの返還命令を厳格に行う。
これでいいんでないかい?
3-1. 外来受診している生活保護受給者には1カ所縛りの適用は経済効果があるかもしれない
先ほどの意見は施設入居者で,服薬管理を第三者に常にされている状態にあるからだった。
一方で,外来受診をしている生活保護受給者には話が別。
この場合はホンマに自由に病院も薬局も選べる状態にあるので,厚労省の案を適用するのは経済効果は出るやろうさ。
でもね・・・
4. 薬局だけの限定ではなく,医療機関も指定させた方がいいんとちやうの?
4650人が重複して薬をもらっていたデータがあるんやろ?
- 同じ診療科の別病院から処方されているなら,医療機関指定で防げますよね?
- 別の診療科の別病院から処方されている薬が重複しているとしよう。診療科に関係ない処方をしている病院の保険を切ればええやん!
どうせ断つなら源流の処方元の処方がまず重複することも抑制するべきやわ!
そう思うね。
これをやらずに,なんで調剤薬局だけが在庫を揃えたり,在宅業務の負担が増えたりせなアカンねん?
さっき言ったことの繰り返しにもなるけれど,生活保護受給者の選択の自由も制限してしまうっていう問題点も今の時点でわかってるわけやしなぁ。なぁんかちょっと微妙や。
最後に,生活保護受給者の薬局を1カ所に限定の厚労省案に対するけいしゅけの対案
- レセプトをチェックする行政側
- 薬を処方する医療機関
- 調剤する薬局
- 受診する生活保護受給者
全てが絡んでの医療費削減案を出さないと,どこかしらオカシイ事にならないか?

僕の案を言うと・・・
- 行政はレセプトのチェック厳格化をし,重複して処方を出している医療機関にペナルティを課す業務を徹底してほしい
- 医療機関も生活保護者が受診する先としての登録するシステムにするべき
- 調剤薬局は1カ所に指定されるが,緊急の場合に受け取れるもう1カ所の調剤薬局を登録できるようにしてはどうか
- 生活保護受給者は,警告を無視して重複して投薬を受けた場合には,保護打ち切りなどのペナルティを受けるようにしてはどうか
こんな提言をしてみようと思う



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