スローケー®が販売中止になり,代替薬としてすぐに浮かぶジェネリック医薬品のケーサプライ®は急激な需要増加によって供給が滞っている…。さて,代替薬としてなにを医師に提案すべきやろう?って悩む薬剤師さんは多いんちゃうやろか?
カリウム製剤を考える時にカリウムのミリ当量数(=mEq)を計算するだけで良いのかを考えると,そうでもなさそうやねん。
無機カリウム製剤と有機カリウム製剤の違いを知った上で判断が必要となるので情報をまとめていきます。
スローケーのジェネリックはなぜ供給が滞っているのか?
冒頭で書いた通り,スローケー®のジェネリック医薬品を代替品として調剤すればひとまず問題をクリアできると考えた方は多いと思うねんけども,発注しても納品されない…。
なぜか。
実はケーサプライ®に需要が集中してしまった為,製造が追いつかない状況になってしまっているねん。
データを見ると製造が追いつかないことに納得できるかもしれない。
医薬品名 | 単位 | 薬価基準収載 医薬品コード |
薬価 | 後発品 区分 |
総計 |
スローケー錠600mg | 錠 | 3229002G1066 | 6.6 | 0 | 28,042,263 |
ケーサプライ錠600mg | 錠 | 3229002G1074 | 5.6 | 1 | 8,011,474 |
厚生労働省が発表している医薬品の院外処方量をまとめたデータ(第3回NDBオープンデータ)によると,スローケーは2800万錠に対してケーサプライは800万錠となっている。スローケーが無くなり,みんなケーサプライで賄おうとすると2800万錠を増産する必要があるわけやけど…。これまでの4.5倍も製造するのは厳しいわな。
じゃあ,スローケーを飲んでいる目の前の患者さんは次回から何を飲んでもらえば良いんやろうか?医師に処方提案すると仮定してみて,代替品を検討してみよう☆
スローケー以外のカリウム製剤を調べてみる
スローケーとそのジェネリックであるケーサプライが使えない状況になってしまった場合,まずは他にどんなカリウム製剤があるんか調べなきゃ始まらへん。
ちゅうわけで調べてみる。
一般名 | 商品販売名 | カリウム含量 | |
無機カリウム製剤 | 塩化カリウム製剤 | スローケー錠 600mg | 8 mEq/錠 |
ケーサプライ錠 600mg | 8 mEq/錠 | ||
K.C.L.エリキシル(10W/V%) 10% | 1.34 mEq/mL | ||
K.C.L.点滴液 15% | 2 mEq/mL | ||
塩化カリウム「日医工」 | 13.4 mEq/g | ||
塩化カリウム「フソー」 | 13.4 mEq/g | ||
塩化カリウム「ヤマゼン」 | 13.4 mEq/g | ||
有機酸カリウム製剤 | L-アスパラギン酸カリウム | アスパラカリウム錠 300mg | 1.8 mEq/錠 |
アスケート錠 300mg | 1.8 mEq/錠 | ||
アスパラカリウム散 50% | 2.9 mEq/g | ||
グルコン酸カリウム | グルコン酸K錠 5 mEq | 5 mEq/錠 | |
グルコン酸K錠 2.5 mEq | 2.5 mEq/錠 | ||
グルコン酸K細粒 4 mEq/g | 4 mEq/g |

ざっくりとした情報はこれで得られたね。
スローケーの代替調剤を単純にカリウムmEq数計算でやっちゃダメ!


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