地域支援体制加算を算定している調剤薬局に
お盆休みは認められていません
2016年の改定のえげつない実態として,基準調剤加算を算定している薬局はお盆休みが認められないことが明らかになりました。
これを踏襲して,2018年の改訂後に新設された地域支援体制加算もまた,お盆休みは認めるような記載がなかったのでお知らせします。
地域支援体制加算を取っている調剤薬局にお盆休みは認められません(悲報)
基準調剤加算地域支援体制加算の算定要件を紹介しましょう。
当該保険薬局の開局時間は,平日は平日は1日8時間以上,土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し,かつ,週45時間以上開局していること。
この記述から,お盆休みが調剤薬局に認められなくなったのです…。

もはや,無念でしかない。国は薬局をどうしたいんやろか?
たしかに,地域医療を下支えするために開局しておく必要性は理解できるねん。
けどさ,『ほんじゃ,なんで開業医さんのクリニックは平然と休めるのん?』って思ってまうねんなぁ
ちなみに,地域支援体制加算を取っている薬局でも年末年始の休みは認められるらしい
これに関しては,2016年の調剤報酬改定時に疑義解釈にて明らかにされています。(当時は基準調剤加算と言う名称でした。)
引用部分を示します
(問18)基準調剤加算の算定要件に「当該保険薬局の開局時間は,平日は1日8時間以上,土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し,かつ,週45時間以上開局していること」とあるが,祝日を含む週(日曜始まり)については,「週45時間以上開局」の規定はどのように取り扱うのか。
引用元☞ H28.3.31の疑義解釈その1より
(答)国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日並びに1月2日,3日,12月29日,12月30日及び31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断すること。
なるほど。
これでわかるのは,年末年始と,祝日が絡むゴールデンウィークやシルバーウィークは休みとして認められるってことやね。
でも,盆休みはだめ。うーん,頭硬くね?って思ってしまう。
このニュースは他の記事でも確認できるであろうから,この記事では,これに対する意見をまとめていこうと思う。
地域支援体制加算に関するお盆休みダメ!この要件は地域社会における利益になるのか?僕はなると思う。
まずは僕が言いたい主張を述べると,次のようになる。
- お盆休みをクリニックなどに認めるなら薬局に休みNGを出すのはやめません?(こっちが直感的な主張)
- いやいや,むしろクリニックも含めて医療機関はお盆と言えど営業するよう通達を出したほうが良いんじゃないのん?(こっちは,実態を知った上での主張)
僕の主張まとめ
医師が如何に過酷な労働条件で働いているかは火を見るより明らかや。休むことに対して僕は「ダメ」なんて言う気は毛頭ない。
直感的な主張としては,『だからこそ薬剤師(薬局)も休むことを禁止される筋合いってないんじゃないの?』って言いたいねん。
一方で,実体験としてお盆期間中に患者さんが全くいないかというと…メッチャいるねん。つまり,医療機関が開いている必要性って地域差はあるやろうけどあるんよね。そやから,地域支援体制加算を取っている薬局がお盆休みを認められへんのんって妥当性があるって思う!
ともすれば,調剤薬局のみならず開業医さんにもお盆休みを認めない方向性を示す必要性ってあるのかも知れへんなぁ・・・。

それなら,町のお医者さんもやるべき!ってことでちゅか?
いやいや💦お盆期間に開業医も開けるべきや!だなんて僕は言えへんわぁ。 ホンマに,医師の勤務って激務そのものやもん。むしろ休んでほしいくらいや。
とはいえ,調剤薬局のみならず開業医さんにもお盆休みは患者さんの為に開けようよって方向性を示す方が良い気がしてきてる。

それってかなり難しい問題なんじゃ…。ちなみに,先生はどうしたらいいって思うんでちゅか??
提案となるほどの主張になるか自信はないけれど,お盆期間中に開業する医療機関と薬局,双方にフィーを与えるのが良いんじゃないかなぁ?
インセンティブがなけりゃ医療機関が開かないというのは寂しい気がするけれど,現実問題としてそこに働く人がいることを切り捨てることはできひん。地域住民のために不自由を強いられてしまう代わりに認められ得るインセンティブが与えられる必要ってあるように思うんよ。
ただし,与えるフィーは必ずしもお金である必要はない気がする。『お盆期間中に開院・開局した医療機関には別の期間に連続した休みを認める』というインセンティブであっても良いと思うねんけど,どない??
地域支援体制加算を算定していたって,お盆休みくらいは認めて欲しい!

僕らだって休みたいしお墓参りくらい行きたいわぁぁぁ!!!
まず,地域支援体制加算を算定していたってお盆休みくらい認めて欲しい!って立場から考えを展開していこうと思う。
処方元が盆休み。地域の開業医もほとんど盆休み。これに対しての厚労省や中医協での議論として「けしからん」は一切聞こえてこない。
一方で,薬局は地域住民の為に相談窓口になるのだから開けておけと言う。随分とアンフェアな法規制って感じてしまうねんけど,どない?
だとすれば,調剤薬局だってみんな休んでもエエやん!って主張したくなる気がしてくる。
ちなみに,お盆期間に薬局には患者さんは来ないのか?・・・いや,来るっ!
次に,最初の立場から実際の体験から反論を述べたいと思う。
僕の務め先は総合病院門前薬局やねんけど,お盆の時にも病院は開院している。ちなみに,近隣のクリニックはお盆休みや。
するとどうなるか。
お盆の時だけ来る患者さんで待合室は溢れかえり,メッチャくちゃ忙しくなるねん。
これが実態や。
僕には3人の子供がいて,夏って意外と風邪をひくことが多いねん。
お盆期間にどのクリニックもやってなくて,病院しかやってないことがあったんやけど,受診できることの有難さをすんごく感じたんよね。
では,医療機関で働く人の休みはどうするのか?僕は休みを別の時期に取らせるインセンティブを与えて欲しいと思う。
そんなわけで,冒頭の主張にたどり着くねん。
お盆にお墓参りに里帰りした時に,急に具合が悪くなってしまった!そんなときに病院も薬局も閉まっているのでは困る。やはり医療機関が開いていることは安心やし,大事な事なんやと思う。できる限り,医療機関は開いてることが望ましいんじゃないかな?
けど,医療機関で働く人の休みはどうしたらいいんやろ?
受診する立場でも医療提供側でもなく,個人としての働き方を考えた時,せめてお墓参りに行けるような休みは与えられて欲しいものじゃないだろうか。
『地域支援体制加算を算定する=お盆休みなし』『お盆に病院を開ける=お盆休みなし』
これだけでは,あまりに苛酷じゃないか?
『お盆には働く必要があるから働く,けれども別の期間に休みは与えられる』
こんな風に制度が整備されていた方が,働き方改革を掲げる国の流れにも合致するように僕は思えるんや。
なんちゅうかさ,休むな!って国が働くことだけを規定したことがそもそもナンセンスな気がするわ。バランス悪いよね,んじゃ代わりと与えられる休みは議論しないのん?って思うわ。
大病院前の前に薬局が並ぶことを批判する人たちに聞きたい。ホンマに薬局が無くていいの?
ちょっとだけ,お盆休みとは筋がずれる話をさせて欲しい。
さて,お盆休みの例を考えていく中でも,(クリニックではなく)病院の前に薬局があることって悪い事じゃないでしょ??と思うねんけど,みなさんってどう思うの??
良かったらひとことお願いします
ちょいちょい週刊誌に「病院を出ると薬局が複数立ち並ぶ姿を見る。どう見ても変だ」的な記載を見るが,僕はこれに反発する。
僕は現場で散々聞いてきたよ。
「病院に朝から来て昼までかかった。もうしんどい,薬まだなん?早よしてや」っていう声を。
門前薬局批判の記事って読むたびに思うねんけど『ただ文句が言いたいだけ』やし『病院ではなく薬局で薬をもらうと高くなる』ってお金の面だけに焦点を当てた短絡的な非難であって,医薬分業以前にあった問題を見落としてると思うなぁ。
まず,薬局が病院前に立ち並ぶことによるメリットを見落としていると思う。病院で発行される処方箋の内容の濃さと発行枚数から言って,一カ所だけに薬局があるよりも複数ある方が待ち時間が短くなりますよね?
「病院で待ったのにまた薬局で待たされるのは嫌だ。できれば薬だけでも早くもらって帰りたい」って患者さんの声が存在するのは事実や。
週刊誌に賛同する方に聞きたい。
門前薬局が無くなって,院内調剤だけになれば病院での待ち時間が昔のように長くなり,病院に行く日は1日潰れるようになるように思います。
インフルエンザでとてつもなくしんどい時にだって,患者やその家族が病院で薬を待つことに文句を言わない世の中があると思いますか?
良かったらひとことお願いします
ただ,門前薬局に『儲かるから』乱立するのは明らかに間違っていたと思う
週刊誌の批判は表面的で浅はかやって僕は思ってる。
とはいえ,薬局の経営者が門前に薬局を建てれば儲かるという理由で乱立させてきた流れについての非難であるならば的を得てると思う。そして,これを制度設計としてコントロールできなかった厚労省にも非はあるよね?って。
ともすれば,冒頭で挙げた地域支援体制加算の要件で門前薬局に対して厳しい条件を叩きつけてくる流れは遅れ馳せながら,軌道修正を図ろうとしたのかなぁって気がする。
かといって利益度外視で医療サービスの提供だけに偏るのは危うい
そろそろ話を本筋に戻そうと思う。
繰り返すけれど,門前薬局の存在自体否定することを僕自身は浅はかな批判だと考えている。もちろん,面分業推進の重要性は承知しているし大いに賛成や。
だからこそ,今からでも本来あるべき医薬分業に進んでいってほしいと思うのだが,現状は門前薬局つぶしのための報酬改定が繰り返されていることは悲しい。
儲けるために門前薬局を建てるは非難されるべきやろうね。
一方で,患者さんの行動範囲,待ち時間削減,併用薬の確認・副作用防止の面から門前にいくつかの薬局が立ち並ぶのは決して『悪い』って思えない。
ちなみに,患者さんに質の高い医療サービスを提供することに意識を向けることは基本的なスタンスやろうね。このスタンスがない薬局が制度設計上振り落とされるのは仕方ないと思う。
故に,地域支援体制加算をとる薬局がお盆休み度外視で開局するのんは妥当やと思う。ただし,そうした薬局が存続できるだけの利益がでることと労働環境が担保されることも同時に考えた方が良いことなんちやうかな?って思うんですよね☆
地域支援体制加算でお盆が無くなる話の結論。
- 実際に患者さんが多いことから言って,地域支援体制加算を算定している薬局がお盆であっても開局してねって要件は妥当だろう
- 医療の本質から言って,クリニックなどもお盆期間にやってたら良いのではないか
- 代わりに,制度設計として休みをどう与えるか?を並行して議論された方がバランスが良いと思う
今回の記事はここまでや☆
最後まで読んでくださってホンマおおきにっ!!お時間を使って読んでくださったことに心から感謝申し上げます!

この記事の感想をコメントしていただけるとメッチャうれしいです!!
ご意見&ご質問も遠慮なく書いてください☆皆さんとの対話を楽しみにしています☆
下のボタンを押すとコメント記入欄へジャンプできますよ~!!
ひとこと言うて行ったってや~

もしよければ,下のボタンを押してけいしゅけをフォローして欲しいでちゅ🍀
よろしくお願い致しましゅ~☆
Twitterでけいしゅけをフォロー
けいしゅけFacebookにいいね!
記事の感想など,ひとこと頂けますか?
コメント一覧 (4件)
[…] 基準調剤加算の要件により調剤薬局からお盆休みが無くなります […]
はじめまして
山の日が含まれる週にお盆が重なった場合は、休んでも算定要件には引っかからないのでしょうか?
これが通るようなら非常に助かるのですが…
田舎薬剤師様
はじめまして☆コメントありがとうございます!!
地域支援体制加算の要件を読み返してみますと,
(7) 当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45 時間以上開局していること。
となっており,
国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日
に対しては言及されていませんので,祝日を含む週に関してはカウントが異なるものと考えてよいと思われます。
ここからは私見ですが,お盆休みは文化的なものですから寛容にあってほしいと感じています。
➤休んでも良いと主張するわけではないですが,休んでいても非難されるのはどうかな?というスタンスです。
ご回答ありがとうございます。
やはりそうですよね。参考になります。
今年から算定出来そうなので、その理論でいってみます