スタチンを中止しても安全なのでしょうか? JJCLIP‗#49 まとめ

スタチンは辞めてもいいの?JJCLIP#49

JJCLIP#49 スタチンを中止しても安全なのでしょうか?

2017年10月8日(日)のJJCLIP配信の内容をまとめました。

今回のツイキャスでは、コホート研究についての論文を題材として、スタチン薬の中止によるアウトカムを吟味していった。

僕なりに今回のツイキャスからも学ぶことが非常に多かったのでここに記録しようと思います。

仮想シナリオ

あなたは,とある街の薬局の薬剤師さんです.
気候が穏やかになり,なんだかお散歩でもしたいな,
なんてぼんやり考えていたところに,
とある患者さんがお久しぶりに来局されました.

「実はつい最近脳梗塞起こして入院してたんだよね.
血圧の薬とかも,イヤイヤながらもちゃんと飲んでたんだけれどな…
もう薬なんて飲んでても意味ないようにも思えるよ.
でも入院した時からどっさり薬が増えて, げんなり.
これって本当に一生続けないといけないものなのかな?
幸い, 大した後遺症もなく状態は安定してる見たいだよ.
何か薬減らせないかなぁ. まだ早いのかなぁ…
…先生, どう思います?」

[患者背景] いつも来局するたびに雑談をしてから帰る65歳の陽気なSさん
定年退職してからは趣味のゴルフがなによりの楽しみ
美味しいものを食べるのも趣味で, よく旅行や食べ歩きの雑誌を持参して来局していた

[処方薬] アスピリン腸溶錠100mg
クロピドグレル錠75mg
エナラプリルマレイン酸5mg(以前より服用していた薬剤)
トリクロルメチアジド1mg
ロスバスタチン5mg

その場ではなんと答えていいか迷ってしまったあなた.
気の利いた言葉もかけられず, 寂しそうに帰って行くSさん.

「次回こそ何か良いアドバイスができるようになりたい」

その日の仕事終わりに, これからSさんにどんな介入をすることが妥当なのか決めるため,
Pubmedで論文を検索すると, スタチンの中止と脳卒中の再発に関する報告を見つけることができたので,その場で早速読んでみることにしました.

【論文タイトルと出典】
Lee M, Saver JL, Wu YL, et al.
Utilization of Statins Beyond the Initial Period After Stroke and 1-Year Risk of Recurrent
Stroke. J Am Heart Assoc. 2017;6(8)
PMID: 28768645

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28768645
PDF→http://jaha.ahajournals.org/content/6/8/e005658.full.pdf?download=true

【使用するワークシート】
観察研究を10分で吟味するポイント

http://j.mp/jjclipsheet3
@syuichiao先生のブログより

引用元:クスリのよろず屋「雅 (Miyabi)」の見立て

シナリオのPECOはどうなる?

  • P: 高血圧のある脳梗塞既往の65歳男性
  • E: 薬の服用を中止する(減薬する)
  • C: 薬の服用を継続する(減薬なし)
  • O: 脳梗塞の再発率、心血管イベント発症、趣味のゴルフなどを続けられる?アドヒアランスが変わる(高まる)?

[結論]シナリオのパターンに当てはまる回答の考察

  • この薬を飲み続けた場合に、何人に1人は再発を防げるのかというメリットをお伝えすること。脳卒中の再発を起こしてしまった場合に助かった後の後遺症が大変であることも伝える。
  • この患者さんにとっての真のアウトカムは何なのか?を捉えてあげることで答えを一緒に導き出すのも選択肢になり得るのかもしれない。
  • 患者さんは口では「脳梗塞を再発したっていいんや!」というかもしれないけど、実際にはそうは思っていないかもしれない。
  • ところで、他の処方薬については減薬が可能かもしれない(脳血管疾患後なのにdaptになっていることも・・・。)
  • むしろ今以上に薬が増えないように生活様式の改善の指導も一つかもしれない

このように、ハッキリとした答えは出ないけれど、やっぱり大事なのは患者さんの満足度を大事にすることかもしれない。

観察研究について

観察研究と言うのは自然経過の中で、さまざまな因子が人に及ぼす影響を検討する手法の事。

曝露因子と言うのは、研究対象集団における「特定の状態」といえる。👈注)決して何かを浴びる事ではない

[観察研究論文の確認ポイント]

  1. 研究の時間の流れは前向き(コホート研究)?後ろ向き(症例対象研究)? 
  2. 論文のPECOは 何か? 下記参照
  3. 論文のアウトカムは真のアウトカムか?
  4. 調整した交絡因子は何か?
  5. 結果は何か? 

問題の定式化 論文のPECOを立てる

けいしゅけ

それでは、いつものとおり、問題の定式化をするで。
  • P: 45151人の脳卒中を起こし退院した後90日以内にスタチンが処方された患者
  • E1: 退院後91日後~180日後までにスタチンを中止
  • E2: 退院後91日後~180日後までにスタチンを減量(高力価⇒中等度・低力価への変更も含む)
  • C: スタチン継続群
  • O: 脳卒中の再発

けいしゅけ

今回のPECO(PICO)はこんな感じでどうやろか?

ちなみに、患者は研究組み入れ期間中の初発の脳卒中と思われる。(患者さんにおいての初発ではない。15%くらいは再発)

論文のチェックポイント5項目を書き出すでッ!!!

コホート研究のチェックポイント

  1. 真のアウトカムか?
  2. 研究対象集団(PECOの”P”)の代表性:外的妥当性が高いか?つまり一般人口に研究対象集団が近いか? 
  3. 交絡への配慮は?   
  4. 結果の追跡はどうなっている?  
  5. 曝露の定義は?  

今回の論文に関する観察研究論文の確認ポイント

  • 真のアウトカムか? ➡ 真のアウトカム
  • 研究の時間の流れは前向き(コホート研究)?後ろ向き(症例対象研究)? ➡ コホート研究
  • 論文のPECOは 何か? 下記参照
  • 論文のアウトカムは真のアウトカムか? 真のアウトカムである ➡ 真のアウトカムである
  • 調整した交絡因子は何か? ➡血圧、糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患、卒中歴、慢性腎臓病、心不全、慢性閉塞性肺疾患、末梢血管疾患、慢性閉塞性肺疾患および慢性閉塞性肺疾患などの年齢、性別および卒中重症度指数に加えて、および睡眠時無呼吸 (喫煙は含まれず)
  • 結果は何か? ➡ 追跡期間1年で、E1群でHR1.42、95%信頼区間 [ 1.28 – 1.57 ] E2群でHR0.94、95%信頼区間 [ 0.78 – 1.12 ]  C群でのイベント発症率4.4%、E1群でのイベント発症率6.2% ➡ NNH=55(NNHは小数点以下切り捨て)
MEMO
傾向スコアマッチングとは?

今回の場合は3群に分けているのだが、それぞれの群に組み入れられる人の背景がそろっている「っぽさ」を通常0~1の間の数値で表す。

傾向スコアが同じ人を集める。

スタチンを継続している人は、認知機能が高くて、喫煙していなくって・・・など、スタチンを継続しているっぽさが高い!なのでそれを0.8などといった数値で表す。

スタチンを継続していない人は、脳卒中を再発していたり・・・スタチンを継続していないっぽさが高くなる。このようにしてスタチンを継続してるっぽさ、継続してないっぽさで数値化すること。疑似ランダム化ともいえる。

ただし、スコアマッチングは1であれば確実にスタチンを継続しているとなってしまうので除外されてしまう。

そのため、スコアが1となるような人が除外されてしまうのが弱点

論文の結果を書き出すど~ッ!!!

  • E1群でHR1.42、95%信頼区間 [ 1.28 – 1.57 ]
  • E2群でHR0.94、95%信頼区間 [ 0.78 – 1.12 ]
  • C群でのイベント発症率4.4%、E1群でのイベント発症率6.2% ➡ NNH=55(NNHは小数点以下切り捨て)
MEMO
NNTとNNHの小数点以下の取り扱い

NNTは切り上げ、NNHは切り捨てで計算する

➡薬剤の効果・有害事象とも厳しく評価する為にこうする

感想

ざっくりとまとめました。自分自身、まだまだ勉強不足であることを痛感しています。

また、エビデンスがわかっていてもそれを臨床にどう応用するか?これが非常に重要です。

患者さんにとっての真のアウトカムは何か?を無視してはいけないという事が臨床への応用の難しさやなぁといったところでしょうか。

けいしゅけ

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