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【JJCLIP‗#52】 風邪に抗菌薬を使うと重症化を防げますか?

JJCLIP#52 風邪のときに抗菌薬を飲むと重症化は防げるのか?

【JJCLIP‗#52】 風邪に抗菌薬を使うと重症化を防ぐことができるのでしょうか?

20187年1月28日(日)のJJCLIP配信の内容をまとめました。

今回のツイキャスでは、観察研究(コホート研究)についての論文を題材としています。

テーマ:上気道感染後の抗生物質使用および細菌合併症 についての論文を批判的吟味されております!

僕なりに今回のツイキャスからも学ぶことが非常に多かったのでここに記録しようと思います。

仮想シナリオ

あなたは,とある街の薬局の薬剤師さんです.

インフルエンザが猛威を振るう年明け.

自分もスタッフもマスク着用,手指消毒・うがい徹底と感染対策に余念の無い毎日.

そんな中,ふとしたときに,新人薬剤師さんから次のような相談がありました.

「風邪患者さんとのコミュニケーションがうまくいかなかったんです.患者さんは抗菌薬を希望していたんですが,

『そもそも感冒に抗菌薬?それって意味ないし下手に飲んで耐性菌ができたりしたら結局本人も困るでしょ…』

と思ってその旨を言ったんですが,あんまり納得されなかったんです.

重症化したら怖いし自分が予防で欲しいって思ったら処方してくれるでしょ,みたいな…

特に,

『意味ないって言ったけれど,それじゃあ重症化とかってどれくらい低い確率で起きるの?抗菌薬って本当に効果が無いって証拠あるの?』

という質問にうまく答えられませんでした.

まだまだコミュニケーションの勉強も不足してるって痛感しました.

実際のところ,風邪の後の重症化ってどれくらいの頻度で起きるんしょう?

そしてそれって抗菌薬で本当に予防できないんでしょうか?

…患者さんの価値観を尊重しつつ,けれども自分も抗菌薬の乱用を防ぎたいんです」

 

新人さんの,そんな若々しい正義感も尊重したいなと思ったあなた.

『自分もそのあたりはよくわかっていないから,一緒に調べてみよう』,と前置きして,PubMedで検索をしたところ,

上気道感染症に対する抗菌薬使用の有無で,細菌合併症に違いがあるのかどうかを検証した論文を見つけることができたので,その場で早速読んでみることにしました.

【論文タイトルと出典】

Antibiotic use and bacterial complications following upper respiratory tract infections: a population-based study.
Cars T, Eriksson I, Granath A, et al.
BMJ Open. 2017;7(11):e016221.

PMID: 29146635

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29146635

PDF→http://bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/7/11/e016221.full.pdf

【使用するワークシート】

観察研究を10分で吟味するポイント

http://j.mp/jjclipsheet3

(@syuichiao先生のブログより)

引用元:クスリのよろず屋「雅 (Miyabi)」の見立て

 

シナリオのPECOはどうなりますか?

  • P: 風邪患者(上気道炎症錠あり、重症化への不安あり?)抗菌薬の処方を希望している。
  • E: 抗菌薬の処方あり
  • C: 抗菌薬の処方なし
  • O: 風邪の重症化は防げるか?風邪の重症化は防げるか?合併症は減らせるか?早期回復が見込めるか?次回の受診を減らせるか?二次感染を防げるか?etc…
患者さんの事を考えてPECOを立てるのが大事

JJCLIP#50と同じ内容を記載します。

1つのケースに対してPECOはいくつも立てることができる。

いま目の前にいる患者さんに興味を持ち、頭を柔軟にして、色々な介入方法を考える・いろいろなPECOを立てる訓練をすることが薬剤師には大切かもしれない。

論文のチェックシートを使い、10分で読む!

いつもどおり、チェックシートを用いて10分間で論文を読んでいく作業に入ります。

けいしゅけ

AHEADMAPのWebページ➡資料ダウンロードページからダウンロードしておいたワークシートを利用します。普段から使えますのでダウンロードしておくといいかも!!

ポイント:厳密に見過ぎない。ほぼアブストラクトからPECOはさがせるので、Key Wordを探して立ててみよう。数値を追うのも良い。

MEMO

論文中の英単語についてのメモ

URTIsって何ですか?

➡ upper respiratory tract infections=上気道感染症

AOMって何ですか?

➡ acute otitis media=急性中耳炎

Mastoiditisって何ですか?

➡ 乳様突起炎

Meningitisって何ですか?

➡ 髄膜炎

Tonsillitisって何ですか?

➡ 扁桃炎

Sinusitisって何ですか?

➡ 副鼻腔炎

論文のPECOは?

Pはどこをみる?

論文タイトル、アブストのSettingを見る。

論文のMethodsのData sourcesの項目をみればOK。

EとCはどこを見る?

Prospective cohort studyの項目に書いている。

Oはどこを探す?

アブストラクトのCONCLUSIONSに記載あり。

  • P: 急性上気道炎の診断を受けたストックホルム郡の全住民(約230万人、スウェーデンの人口の約23%)
  • E: 抗生物質曝露あり
  • C: 抗生物質曝露なし
  • O: 細菌合併症の発生率

論文のアウトカムは真のアウトカムか?

真のアウトカムである。

調整した交絡因子は何か?

個人を見ておらず、集団を対象にしているので交絡因子の調整という概念がない??

傾向スコアマッチングなし。

結果は何か?

 

  • 乳様突起炎(p = 0.0933)
  • 腹膜膿瘍(p = 0.0544)
  • 浸潤性A群連鎖球菌病(p = 0.3991)
  • 眼窩膿瘍(p = = 0.9637)
  • 硬膜下膿瘍および硬膜下膿瘍(p = 0.4790)
  • 汎副鼻腔炎(p = 0.3971)

が観察された。

髄膜炎および急性篩骨洞性副鼻腔炎については、2006年から2015年までの感染数の減少が観察され(p = 0.0038およびp = 0.0003)、後咽頭および咽頭膿瘍については増加が見られた(p = 0.0214)。

URTI後の細菌性合併症は、抗生物質曝露(10,000エピソードあたり1.5未満)および非暴露患者(1未満)の両方において稀であった。

論文の結論

URTIに続く細菌の合併症はまれであり、抗生物質は細菌の合併症を予防する上で保護効果がないかもしれない。

論文の結果の考察

スウェーデンで、全体として抗菌薬の使用が減っている(22%減)

使用動向は日本のそれと様相が異なっている。(マクロライド、セフェムが非常に少ない)

また、北欧での結果だが、症例発生例が非常に少ない。

人口ベースでのワクチン接種率や衛生状態、医療へのアクセスなどの背景がことなることは考慮に入れる必要がある。

シナリオの患者さんに論文の結果をどう当てはめられますか??

そもそも日本とスウェーデンで使われている抗菌薬の種類が異なることや医療に関するリテラシーの違いはあるだろうから直接的に結果を適応はしにくいかもしれない。

ただし、

  • 重症化を防ぐならばワクチンの方が良いかもしれないという話をする。
  • そもそも重症化するリスクは非常に少ないので、休息を取ることを話す。
  • 抗菌薬を飲むことは回復を早めないことを話す
  • 抗菌薬を飲むことによって得られる利益(重症化を防げるかもしれない)よりも、下痢になるなどの喜ばしくない効果が出る可能性が上回ることを話してみる

など、患者さんに寄り添いつつも十分に対話することが重要かもしれない。

感想

ざっくりとまとめました。いつもながら、まだまだ勉強不足であることを痛感しています。

 

今回のツイキャスでは

「念のため」という言葉は恐るべき思考停止ワード

というコメントがあり、非常に心に残りました。確かに「念のため」と言って処方された薬は誰もが受け入れてしまうでしょうから。

むしろ、「万が一」出てしまうかもしれない副作用についても、充分理解してもらうように患者さんと対話する姿勢が医療従事者には必要だなぁと痛感しました。(もちろん、伝え方は慎重にしたいところです。ストレートな説明で不安な気持ちにさせるのは患者さんに寄り添っているとは言えないので。)

 

けいしゅけ

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