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感度,特異度,尤度比を理解しよう!【JJCLIP#6】検査陰性なのにインフルエンザ? 

感度・特異度・尤度比って何ですか?
感度,特異度,尤度比ゆうどひって何ですか?

  • 感度 ( Sensitivity )  とは,疾患ありのうち,検査陽性の人の割合。四分割表で計算する場合 Sn = a / a+c で計算できる
  • 特異度 ( Specificity ) とは,疾患なしのうち,検査陰性の人の割合。四分割表で計算する場合 Sp = d / b+d で計算できる
  • 尤度比ゆうどひ ( Likelihood ratio ) とは,英語でいえば,Likelihood ratio と表現するもので,「尤」は「もっとも👉尤も」と書く。つまり尤度比とはもっともらしさ,「~っぽさ」を表す用語である

感度や特異度は以下の表で理解しよう

疾患あり 疾患なし 合計
検査陽性 a人 b人 a+b人
検査陰性 c人 d人 c+d人
合計 a+c人 b+d人 a+b+c+d人

JJCLIP#6 検査で陰性なのにインフルエンザって?

この記事は,2014年2月16日(日)のJJCLIP配信の内容を元にして作成しました。

ツイキャスでは,検査キットによる診断精度の論文をもとに,感度,特異度,尤度比ゆうどひといったものからベイズの定理まで話が展開されます。非常に興味深い内容であると共に,知っておきたい用語がたくさん出てきたので備忘録として記録しています。

目次

検査で陰性だったのにインフルエンザと診断された! ~ツイキャス仮想シナリオ~

あなたは保険薬局の薬剤師です。インフルエンザが流行期を迎え,あなたの地域にはインフルエンザ流行警報がでています。

朝からインフルエンザと思われる患者さんばかりで,夜の6時を回っても途切れる気配がありません。

そこに一人の患者さんが浮かない顔をして処方箋を持ってこられました。

「今日は,ものすごく混んでて,先生によく確認できなかったんですが,腑に落ちないことが多くてちょっと伺っても良いですか?」
と患者さんが切り出しました。

「まず,先生は“インフルエンザの検査はしなくても,あなたはインフルエンザだと思います。”とおっしゃって,心配なんで,どうしても検査してほしい,って頼んだんです。結果は陰性だったんで,安心したんですが,先生はそれでも“インフルエンザだろう”っておっしゃるんです。“薬いらないと思いますけど,どうします?”って聞かれたんですけど,インフルエンザだったらやっぱり飲んだほうが良いかなって思って,とりあえず,“じゃ,ください”って言って,今日はこの薬が出たんですけど…。インフルエンザの検査はしなくて良いってどういう事ですかね。それと陰性でもインフルエンザです,ってどういう意味でしょうか。よくわからないのですが,私は本当にインフルエンザなのでしょうか?」

この患者さんの主な情報と主訴は以下の通りです。

*30歳女性。喫煙(-)。電車通勤で都内まで勤務。

*今日の10時くらいから症状が出始めた

*症状は,主に発熱(39度)と寒気,関節の違和感

*合併症や併用薬なし。今日の処方はタミフル®とカロナール®

*インフルエンザの検査はしなくても良いってどういうこと?

*結局のところ,私はインフルエンザなのでしょうか?

インフルエンザ迅速診断キット検査の性能について少し調べてみました。

PubMedのClinical Queriesに「rapid influenza antigen detection test」とキーワードを入れ,カテゴリーを「Diagnosis」スコープを「Narrow」にして検索すると以下の論文が見つかりました。

[文献]

Tanei M, Yokokawa H, Murai K, Sakamoto R, Amari Y, Boku S, Inui A, Fujibayashi K, Uehara Y, Isonuma H, Kikuchi K, Naito T.
“Factors influencing the diagnostic accuracy of the rapid influenza antigen detection test (RIADT): a cross-sectional study.”
BMJ Open. 2014 Jan 2;4(1):e003885.

PMID: 24384898

http://blog.hidexp.net/?eid=327 より引用

横断研究について

横断研究と言うのは時間軸の無い,その時点(仮想シナリオでいえば,女性患者さんが受診した日)でスパッと切ったStudyのこと。

診断であれば,その時点で患者さんが病気を持っているのか否かを診れればいいので,時間的な因果関係というよりはその時点での有病率を判断するのに適している研究

診断の横断研究論文,確認ポイントは7つ

  1. 研究デザインは何か? 横断研究であるか。
  2. 標準検査は妥当か? 対象となる診断法が Gold standard に近いもので比較されているか。
  3. 対象患者は臨床上,適切な患者であるか? 対象となる検査法に対して,臨床上診断が問題となる患者群か。
  4. 研究で行われた診断法と標準検査は全ての患者で行われているか? 全例で行われていないと両者のデータにゆがみが生じ結果の正確度が著しく低下する。
  5. 研究で行われた診断法と標準検査は独立して判定されているか? 一方の診断結果を知ったうえで,他方の診断を行うと情報バイアスが生じる。
  6. 研究で行われた診断法と標準検査の判定方法は明確か? 実臨床でも実施が可能なものであるか,きちんと記載されているか。
  7. 研究で行われた診断法と標準検査はいずれも再現性があるか? 結果の判定に経験を要するもの,あるいは主観的な評価が入り込む恐れのある診断法では同じ診断を行っても結果が一致しないことがある。

今回の横断研究論文について,実際に確認ポイントをチェックしてみる

  • 研究デザインは何か? 👉 横断研究である。論文タイトルにズバリ書かれている
  • 標準検査は妥当か? 👉 妥当である。 論文アブストラクトのMain outcome measuresに記載あり。The RIADT and …(Verigene Respiratory Virus Plus; VRV) , … the gold standard , と記載あり。 「Gold standard(最も良い検査法)」という言葉と同じ意味で,しばしば論文では「Refernce standard(その時点で最もしっかりしている検査法)」と書かれている。キーワードとして覚えておくと良い☆
  • 対象患者は臨床上,適切な患者であるか? 👉 全く症状のない人を対象にしていると検査はほぼ確実に陰性が出るし,陽性が出てもそれは間違いなのは明らか。インフルエンザなのかどうか判別を必要とする患者さんを対象としているかどうかを書かれている部分を探すのが大事。論文ではアブストラクトのParticipantsに”upper respiratory symptoms and fever ≥37°C at any time from symptom onset”と記載あり。よってOK!
  • 研究で行われた診断法と標準検査は全ての患者で行われているか? 👉 methodsの中に”All were tested”と書かれている。全例で行われている。 OK!
  • 研究で行われた診断法と標準検査は独立して判定されているか? 一方の診断結果を知ったうえで,他方の診断を行うと情報バイアスが生じる。 👉 methodsの中に”participants were enrolled in the Departments of General Medicine of Juntendo University Hospital and Juntendo University Nerima Hospital, both in Tokyo, Japan. ”とあり,独立性があるかは微妙なラインだが,ある程度保たれているかも。
  • 研究で行われた診断法と標準検査の判定方法は明確か? 👉 明確である。迅速キットの結果は明確に出るので明確と考えていいだろう。
  • 表研究で行われた診断法と標準検査はいずれも再現性があるか? 👉 検査キットを使わないものであれば医師の手技が入るので個人差が出るので結果の一致が困難な場合があるが,今回のインフルエンザの迅速キットの場合は手技レベルに差は出ないと思われる。また,本文中のRapid influenza antigen detection testにもoutpatient physicians and residents who had been well trained in the technique.と書かれている。なのでOK!

四分割表について

疾患の有無と検査陽性・陰性を四分割表にまとめて書き込みます。

けいしゅけ

実際に論文に合わせて計算することで理解しやすくなるので,読み進めていってな☆

四分割表の書き方

書き方の覚え方やで

疾患の有り無しは神のみぞ知るので上に書く(上の”行”に並べて書く)。そして神は上から下を見るので縦に表を見る

検査の陽性か陰性か?は人間がやるもの。人間は神様より下にいる(地上にいる)ので下に書く(下の”列”に並べて書く)。そして人間は地上にいて,横に表を見る。

そんな風に覚えると四分割表づくりは正しく書ける☆

四分割表はこんな感じや

疾患あり 疾患なし 合計
検査陽性 a人 b人 a+b人
検査陰性 c人 d人 c+d人
合計 a+c人 b+d人 a+b+c+d人

今回の論文の結果を書き込んでいきます。

数値を書き込むと,わかりやすい!

疾患あり 疾患なし 合計
検査陽性 43人 2人 45人
検査陰性 16人 21人 37人
合計 59人 23人 82人

けいしゅけ
色々な場面で使えるので,四分割表は覚えておくとええで☆

[/ふきだし]

【四分割表から求められる7つのこと】
有病割合・感度Sn・特異度Sp・陽性的中率PPV・陰性的中率NPV・陽性尤度比ゆうどひ・陰性尤度比ゆうどひ

けいしゅけ
さあ,ここからが超重要や!!

[/ふきだし]

7つの用語を解説します!

  1. 有病割合
  2. 感度Sn
  3. 特異度Sp
  4. 陽性的中率PPV
  5. 陰性的中率NPV
  6. 陽性尤度比ゆうどひ
  7. 陰性尤度比ゆうどひ

タコちゅけ
順番に行きまちゅよ~☆

[/ふきだし]