よく薬局の窓口で患者さんから受ける質問や。
たしかに,ガスターに代表されるH2ブロッカーやタケプロンに代表されるPPIを飲み続けていると,聞きたくなるよなぁ。
- 胃酸が出なくなるんとちゃうか?
- 抑え続けることで胃酸が減って消化ができなくなるんとちゃうか?
そんな風に思えてくるんやろうね。
簡単に答えると,
「基本的には飲み続けちゃダメ」
そやけど,
「いや,飲み続けてください」
って答える場合もあるねん。
矛盾しとるがな!!
これ,どういうことなんやろか?これを書いていくで☆
飲み続けちゃダメな場合・飲み続けないとダメな場合
ただの胃炎やら胃もたれで処方された場合は飲み続けたらあかん!
当たり前やがな。
めっちゃ基本に戻ろうよ。
人間の体の仕組みって必要があるからそうなってるんやんなぁ。
例えば,必要があるから唾液って出る。
口が潤っているから,話がし易くなる・モノを飲み込みやすくなる・噛んだりしやすくなる。
口の中の粘膜が保護される。
外から入ったばい菌などが唾液にキャッチされることで胃まで運ばれて胃酸で処理される・・・など。
必要があるから出ているねん,唾液は。
これと全く同じような流れで,胃酸だって必要だから出ている。
それを薬を飲むことで無理やり抑えているんや。
つまり,胃酸を抑えている状態ってのは通常の状態ではないねん。
そやから,一時的に胃や食道が荒れた状態になって,胃酸によってそれが悪化しそうな時。
そんな理由で胃酸を抑えようと処方されている場合は,飲み続けたらアカン。
症状がなくなったら,さっさと体を当たり前の状態に戻そう。
繰り返す逆流性食道炎など胃酸でダメージを負う状態が続く時は服用を継続するべき
次に,飲むのをやめたらアカン場合。
これは,小見出しに書いた通りで,繰り返す逆流性食道炎など,常に胃酸によって胃や食道が荒らされるリスクがある場合や。
この場合は,もはや体は当たり前の状態を保てなくなってしまっているねん。
どういうこと?
言い換えようか。体は胃酸が出ているのが当たり前なのに,これが何らかの理由でバランスが崩壊。胃酸が出るほどに体調が悪くなってしまった場合。
この場合は,胃酸を抑える薬を飲み続けなアカンねん。
せやけど,タケプロン(ランソプラゾール)なんかは,続けていると下痢を起こす副作用が出る場合がある(別の記事で書くわな🎵)。

こんな風に飲み続けているうちに体調不良が起こる場合があるから,病院を受診し続ける中でドクターと話し合う必要があるわ。
先生に言ったら悪いから・・・とか考える人っているけど,意味不明や。
医者が怒ることはまずないし,怒るような医者なら診てもらわんかったらいい。
そんな医者は,医療人として終わってるから。
患者さんのQ?(質問)に対して真摯に答えない医療人は,「コイツあかんな」って放っといたらええねん。
患者の立場で大事なのは,自分の体調変化をしっかりと医者をはじめとする医療機関の人間に主張する事や。
何も言わんかったら,わからんことがある。
何も言わないという事は,薬を飲んでいる状態で安定していると勘違いされてまうで?
飲み続けなければならなくなった場合には,体調変化をしっかりと伝える事。
これが大事です。
まとめ
今回は短編でした。
胃薬ってちょっと安易に処方され過ぎているからなぁ。
ぶっちゃけ要らんやろ?ってケースを1日に数例は見るよ。
医療機関サイドの怠慢を感じています。ゴメンナサイ。
今回は胃薬を飲み続けていいの?ダメなの?
を場合によっては全く逆の答えになることをお話ししました。
もし,どっちかわからん!って場合は質問フォームがあるので,けいしゅけで良ければ答えます。
少しでもお役に立てればいいなと思いつつ,この記事を終えます。ではまた☆

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コメント一覧 (6件)
けいしゅけ様。 初めてコメントいたします。 どの記事も大変分かりやすく、薬に興味がもてるようになった新米薬剤師です。 本当に感謝、感謝です。これからもぜひわかりやすい記事を楽しみにしております。一つ質問なのですが、アルジオキザは食前投与が効果的、セルベックスは食後投与となっていますが、同じ防御因子増強剤なのに、なぜ効果的な用法が異なるのでしょうか?もしおわかりでしたら、教えて下さいませ。
多田 様
コメントありがとうございます!薬に興味がもてるようになったという言葉をいただけることが本当にうれしいです。
さて、質問に対する答えなのですが、アルジオキサ(イサロン)およびテプレノン(セルベックス)のインタビューフォームを見比べてみると、
アルジオキサに関しては、吸収に関するデータはなく、相互作用についても食事による影響は書かれていません。唯一書かれているのはアルジオキサに含まれるアルミニウムイオンとキレート形成をして吸収が阻害されるものとしてテトラサイクリン系およびニューキノロン系抗生物質が挙げられており、効果減弱が記載されていることです。
ただ、アルミニウム関連でスクラルファート(アルサルミン)のインタビューフォームを見てみると、
と書かれています。
アルジオキサの薬効として、胃の中でアルジオキザ=アラントイン+水酸化アルミニウムに加水分解されるとありますから、この水酸化アルミニウムに注目して水酸化アルミニウム製剤のマーロックス懸濁用配合顆粒の食事による吸収の低下があるか?を調べると、やはり食事による薬効低下に関する記載がありません。
よって、アレジオキサは食事による影響はないと考えていいのではないか?と考えていました。
次にセルベックス(テプレノン)について。これはインタビューフォームに明らかに空腹時服用によって効果が23%減弱したと記載されています。
これは、吸収がリンパ系を介した吸収であるという事が理由になると考えます。
これについて根拠を探してみる為に「リンパ系」を調べると、リンパ系の機能として「消化吸収した脂質を循環系まで運ぶ」という働きがあることがわかります。であれば、食事に脂質が含まれていれば、それとともにテプレノンが運ばれるのではないか?と考えるわけです。
このようにして、同じ防御因子増強剤でも、成分が違えば作用機序や吸収などの体内動態が変わるため、効果的な用法が変わるのだ。と結論付けられます。
けいしゅけ様、御丁寧な返信をありがとうございました!!とても分かりやすく説明していただき、感謝しております。 もう一点質問があるのですが、セルベックスがリンパ系を介した吸収であるということは、どうしたら分かるのでしょうか? 添付文書には書いていなかったので・・・。 またよろしくお願いします。
多田 様
セルベックスがリンパ系を介した吸収であるというのはですね、実はインタビューフォームを見ると記載されていますよ☆
添付文書よりもインタビューフォームは圧倒的に情報量が多いので、
ADME(吸収・分布・代謝・排泄)に関する情報はインタビューフォームを参照する事がオススメです
また、肝代謝型(肝排泄型)なのか腎排泄型なのか?なども添付文書には記載されていないケースが多いので、
僕は薬の情報は添付文書プラス、インタビューフォームを見るようにしています。
けいしゅけ様、再度の御返信、ありがとうございました!インタビューフォームは読んだことがなかったです!
大変詳しく書かれているのですね! 勉強になりました。 これからも、ためになる記事を楽しみにしていますね!
多田 様
良かったです☆インタビューフォーム、ぜひぜひ活用していきましょう☆
少しでもお役に立てるよう、頑張ります!