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エフィエント の長所・短所を プラビックス と徹底比較!3成分目のチエノピリジン系抗血小板薬 の実力は?

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 「エフィエント錠が処方されてきたとき,患者さんにプラビックス錠との違いを説明できる?」 

[/ふきだし]

エフィエント錠 3.75mg の処方が出た時に,投薬して戻ってきた仲間に,僕は問いかけてみてん。

①~③はそれぞれ別の仲間の返答や。

 

  1. 「そもそも エフィエント錠 ってあんまり処方されないから勉強してへん」
  2. 「確か飲み始めに 20mg 飲まなきゃいけないやつでしたよね? 理由は良くわかってないですけど」
  3. 「 PCI ・・・ DAPT ・・・ エフィエント ・・・ 検索 !」
[/list]

3人目に関しては潔くってなんか,好き。返事することに達観し,Googleに答えを求めている。 でもゴメン,返事はしてほしかった。

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確かに エフィエント錠 ( 一般名 : プラスグレル )の処方自体は プラビックス錠 ( 一般名 : クロピトグレル )に比べて遥かに少ないでちゅね。その理由って何でしゅか? 

それでは,本文でこの質問の答えを一緒に考えてみることにしようと思うっ☆

ちなみにパナルジンはちょいと顔見せ程度の登場です。チクロピジンはもはや隠居中の身なので。

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ちなみに, 「エフィエント錠 は最初 20mg を飲まないといけないんですよね?」っちゅうセリフがあったけど,エフィエントに限った事とちやうねんで。 プラビックス錠 も 300mg を ローディングドーズ  ( 初期投与量 )として服用する用法があるねんよ・・・。

そんなことを思いながら,僕はコーヒーを飲みながらみんなに語ることにした。

目次

エフィエント(プラスグレル)はスーパー・プラビックスの異名を持つ進化型である

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エフィエント,プラビックス,パナルジンは3つともチエノピリジン系の抗血小板薬や。血小板細胞表面に存在するADP受容体の中でもP2Y12受容体に作用して,血小板凝集を促進のシグナル伝達を抑えることによって抗血小板作用を示すねん。 

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 プラビックスは長きにわたって活躍してきたパナルジン(チクロピジン)が抱えていた血栓性血小板減少性紫斑病(TPP)や無顆粒球症,重篤な肝機能障害のリスクをクリアした薬でしゅよね? 

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そうそう!やるな,タコちゅけ。

チクロピジンは投与初期に副作用が起こりやすいので血液検査が必要やってんけど,これをプラビックスは不要にしたという画期的なもんやったわけだ。

これにより,パナル爺(チクロピ爺),いや,パナルジン(チクロピジン)は隠居生活へと突入したんやっ! 

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 (パナル爺(チクロピ爺)・・・ちょっとだけオモロい感じがなんとなく悔しいでちゅ。)

[/ふきだし]
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さてさて,そのプラビックスよりも優れたピッチピチの活きのイイ薬剤が世の中に出てきた。

それがエフィエント(プラスグレル)と言うわけや。 

エフィエント(プラスグレル)がプラビックス(クロピトグレル)に対して圧倒的に優れる点は5つある

 

  1. 効果発現が迅速。投与1日目に20mgを服用した際のTmaxは 0.6 ± 0.2 時間である
  2. PCI後のDAPT療法において,エフィエントはプラビックスよりもステント血栓症などの心血管イベントリスクを下げた
  3. 代謝酵素のCYP2C19による影響をほぼ受けない(プラスグレルの代謝に関わるCYPの関与の強さの順番はCYP3A4>CYP2B6>CYP2C9≒CYP2C19)
  4. 腎機能・肝機能の低下による薬理効果の増減がない(透析を必要とする末期腎機能障害患者では約31~47%効果が落ちる)
  5. 喫煙によるCYP誘導があるのはCYP1A2なので,これも効果に影響が出現しない
[/list]

まずはエフィエントが優れている点について,これだけの情報があるので知っておきたい。

エフィエントを使ったDAPT療法の方がステント血栓症リスクを下げる

DAPT療法( dual antiplatelet therapy )ってどんな薬物療法?の記事でも書いた通り,虚血性心疾患の治療である経皮的冠動脈形成術(PCI)後のDAPT療法において問題点となるのがステント血栓症や。

その発生リスクを抑えるには抗血栓効果が迅速かつ確実に出る必要があるわけや。

先ほど挙げたエフィエントの優れる点の①と③がこれに当てはまる。

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①「効果発現が迅速。投与1日目に20mgを服用した際のTmaxは 0.6 ± 0.2 時間である」は成分的な特徴として,

③「代謝酵素のCYP2C19による影響をほぼ受けない」という特徴が画期的やねん。

なぜなら,パナルジンもプラビックスもCYP2C19によって代謝されて活性化され効果を発揮する薬やったから。

次に,アスピリンとの併用,つまりDAPT療法におけるアスピリンとの相性やけど,

これにおいてもアスピリン +  エフィエント 群が アスピリン + プラビックス 群 に比べてステント血栓症発症などの心血管イベントリスクを下げた。

N Engl J Med 2007; 357 : 2001 – 15.より) 

補足しまっせ~☆

日本人にはCYP2C19の代謝活性欠損者が20%もいる!

これはしっかりと知っておきたい事実やね。

日本人の5人に1人はCYP2C19が欠損しているってわけや。欠損と言っても完全にCYP2C19を代謝できないわけではないので誤解のないようにしてほしい。ただ,ほとんど代謝できないと考えればいい。

こうなった場合,今回の記事でいえば,パナルジンやプラビックスはCYP2C19で代謝されることで効果を発現しているわけやから,日本人の5人に1人はパナルジンやプラビックスの効果がほとんど出ないと考えられるわけや。

つまり,よく見るDAPT療法の相方となっているプラビックス(クロピトグレル)は5人に1人はあんま意味ない可能性があんねんよ。

エフィエント(プラスグレル)がプラビックス(クロピトグレル)より優れる点の③代謝酵素のCYP2C19による影響をほぼ受けないがいかにスゴイことかがこれで理解できるね。

(出典:CYP2C19,CYP2D6,お よびCYP2C9の 遺伝子多型 と人種差)

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ここまで読んでみると,エフィエントやるじゃん!

もうエフィエントだけでええやん!!!ってなるやろ?

でもね,プラビックスも優れている点はあるし,エフィエントにも弱点はある。それをこれから書いていくで!

プラビックス(クロピトグレル)の逆襲 ~まだまだ隠居せぇへんで!~

ここまでの話をすると,どうもエフィエントちゃんがスゴイ!カッコイイ!サイコー!大好き!うっふ~ん💛

みたいになるんやけど,そうとも言い切れない部分がある。

エフィエントの弱点と,プラビックス(クロピトグレル)の男前なポイントを書き記していこう。

俺にだって弱点は・・・ある!エフィエントの弱点,それは出血リスクの増大と薬価が高いこと

先ほど挙げた出典の論文, N Engl J Med 2007; 357 : 2001 – 15. では,実は続きがある。

出血リスク増大について

経皮的冠動脈インターベンションを施行予定の急性冠症候群患者において,

プラスグレル療法は,ステント血栓症など虚血性イベントの発生率の有意な低下と関連を示したが,

致死的な出血など重大な出血のリスクの増加とも関連を示した.

治療群間で全死亡率に有意差はみられなかった

出典:(N Engl J Med 2007; 357 : 2001 – 15.より)

赤線の下線部が根拠となる。

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そう,実はエフィエントは効果が高いものの,出血リスクの増大がネックとなっていて,世界的にもプラビックスより売れることができていないのだ。効果は良いけれどリスクも上がる。というのはちょっと微妙。というのが世界的な見方なのだろうと僕は考えているねん。 

補足やけど,白人はCYP2C19の代謝活性欠損者の割合が日本人の約20%と違って3~5%と低く,プラビックスが効かない・効きにくい割合が低い。この事もエフィエントよりもプラビックスが売れた理由であることを知っておきたいポイントやで。

日本人においては,そもそもプラビックスが効かない・効きにくい割合が高いのでエフィエント(プラスグレル)の需要は外国人よりも高いと言えそうやね。

薬価について。プラビックスに比べてエフィエントはやはり高い!

通常の使い方ならば,初回20mg投与後は3.75mgを継続するので,

7日分で計算すると,1128.8×1日 + 276.1×6日=2784.7円(薬価で)かかることになる。

一方でプラビックスはどのくらいだろう?

先発品であれば,PCI後の服用であればクロピトグレルはローディングドーズ(初期投与量)300mgなので,

75mg錠 × 4 ×1日 + 75mg×6日 で医療費の計算ができることになる。

先発品の場合:182.3×4×1日 + 182.3×6日=1823円(エフィエント比:▼961.7円)

後発品の場合(一番安い場合で計算):49.9×4×1日 + 49.9×6日=499円(エフィエント比:▼2285.7円)

どうだろうか?そう,実にジェネリックも加味すると,最大でエフィエントよりもプラビックスで治療する方が1週間で2285.7円(薬価)医療費が安くなってしまうのだ。自己負担額でいえば1割負担で230円,3割負担で690円の差額が出るってことになる。

補足しまっせ~☆

プラビックスのPCI後の服用開始時の用量は初回300㎎

ローディングドーズ(初期投与量)と言うんやけど,この場合に300mgを投与することで2時間ほどで効果発現が可能になるねん。

ちなみに,75mgをPCI施行前に4日間使っていた場合は定常状態に達していると考えられるのでローディングドーズ300mg投与は必須ではないことに注意したい。

ここの補足で言いたいのは,エフィエントはローディングドーズとして20mg!というのはみんな知ってるねんけど,プラビックス300mgとなるといきなり知らないという人が多くなるって事やねん。プラビックスもあるんやで!!って言いたかった。

ちなみに,エフィエントの場合はPCI施行前に5日間,3.75mgを投与していれば定常状態に達していると考えられるためローディングドーズ20mg投与は必須ではなくなる。

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そう,エフィエントの弱点は2つあるねん。

1つは出血リスクがプラビックスよりも増えてしまうという事。

もう1つは,負担額がたかくなってしまうこと。

CYP2C19の代謝活性欠損者が日本人に比べて遥かに低い外国人にとってはプラビックスの方が魅力的なのだ。

だから海外においてエフィエントがプラビックスよりも売れなかったってわけや。

適応症がエフィエントはPCI適応の心疾患に限られるのに対し,プラビックスは脳にも末梢血管にも適応がある!

比較すると明らかや。

エフィエントの適応症

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患

(出典:エフィエント添付文書)

プラビックスの適応症

(出典:プラビックス添付文書)

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なるほど!

確かにこうしてみるとプラビックスはまだまだ隠居するわけにはいかへんな!

日本人についてはCYP2C19の代謝活性欠損者が多いからPCI後のDAPT療法においてはエフィエントが非常に重要なのは間違いない。

せやけど,脳の分野や末梢血管についてはプラビックスにしか適応症がないわけやからね。まだまだ活躍できるやん,プラビックス。

 

まとめ

チエノピリジン系抗血小板薬の3つの薬剤,エフィエント・プラビックス・パナルジンの比較を書いてきました。

パナルジン(チクロピジン)は隠居中のため,チラ見程度でしたが,大事なことは書いたよ?

それでは,まとめとして3種類のチエノピリジン系抗血小板薬の特徴を書いて終わりにします。

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今回の記事はいかがでしたか?
アナタのお役に立てていれば幸いです!
もし良ければコメント欄から記事を読んだ感想や,ご意見,ご質問など寄せて下さい☆待ってます!!

この記事を読んだあなたに是非併せて読んでいただきたい記事が2つあるので紹介します☆

  1. 抗血小板薬と抗凝固薬の違いと使い分けをまとめたで☆
  2. DAPT療法( dual antiplatelet therapy )ってどんな薬物療法?