カフェインは1日どのくらい摂取すると危険なの?上限の目安を調べたで!
薬剤師をしていると,「この薬はコーヒーで飲んだらダメですか?」という素朴な質問に遭遇することが多い。調べていくと,併用禁忌(平たく言えば「コーヒーと飲んだらダメ」というもの)はないねん 1) 。ただし,注意が必要なものとしては表があるので参照してみてほしい。

ちょっと表を載せてみたけどわからへんよ~って方もいると思うので補足や。
キサンチン系薬剤ってのは,喘息のときに使われることが多い気管支を広げるお薬の事やわ。(これが一番対象者が多いかなぁと思う!)
中枢神経興奮薬はほとんど飲むことはないので,気にしなくていいレベルやで。あえて言うなら,風邪薬に含まれるエフェドリンが中枢神経興奮作用がある成分で僕らがなにげなぁ~く飲んでいることがあるものかなぁ。そやけど,エフェドリン自体を多量に飲むことは有り得へんと思われるので,やはり気にしなくていいと言っていいと思う。
MAO阻害薬というのは何やろね?これは,パーキンソン病の治療薬として使われる「エフピーOD錠2.5」っていうのがあるねん。これもやっぱり,一般的に多くの人が手にすることはないものや。
最後にシメチジン。これは胃酸を抑える薬や。処方箋薬としてはタガメットという薬がこの成分を含んでいる。OTCでも売られているで。パンシロンH2ベスト,フロンティア錠などが該当する。まぁ,調べたものの僕,このOTCは知らんかった。もしドラッグストアにお勤めの方でシメチジンが含まれる胃薬があれば情報をゆるーく求めます。良かったら教えてください。
てなわけで,カフェインと一緒に飲むのに注意が必要なお薬が案外,よく飲むものではない事はご理解いただけたんとちゃうやろか?
前置きが長くなってしまったけれど,そういう経緯から,一緒に飲んだらアカンものは少ないことがわかった。
けど!
1日でカフェインを含む飲み物(コーヒーやエナジードリンク,緑茶,紅茶,ココアなど)って,どのくらい飲んだらアカンのですか??
これを薬剤師としてはきっちり伝えたいと思ったのであります!調べてみたで☆
結論から言うと,カフェインの1日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)は明確には決まってない。ただし目安はある!
ADI:Acceptable Daily Intakeって何ですか?
ADIとは,一生涯摂取し続けたとしても,健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取許容量のことを意味しますで☆
ほんじゃぁカフェインって・・・どれくらい飲めるのよ!?気になってきましたわ。これ,調べへんなんて有り得へんっ!
調べまくりました。
ひとまず,添付文書を見ます。薬剤師やもん。まずは身近にあるものから。
無水カフェインの用法・用量は1回0.1g~0.3gを1日2~3回服用。ただし年齢,症状によって適宜増減する
日本薬局方の無水カフェインの添付文書を読むと,1回100mg~300mgを1日2~3回服用する。とありました。
1日900mgまで処方量として出ることがあるって事か。。。意外と多くねぇか?というのが正直な感想。けど僕が注目したのは1回服用量の方ですわ。
1回服用量は300mgが上限に設定されている。とりあえず添付文書から得られる情報で,これが大事かなと思うわ。
国際機関の注意喚起まとめ:カフェインの摂取基準を把握することで健康被害を回避するんや!!
よっしゃ,あとはWHOやら保健機関が出している基準を調べていこうと思う。大事なのは健康被害を避ける知識を持つこと。
カナダ保健省(HC:Health Canada)が出した注意喚起 2) で具体的数値が出ている
2010年に,カフェイン摂取について注意喚起が行われてたで☆かなり具体的数値を出しているので参考にしやすいと思うわ。
要約を訳して記載しておくと以下のような感じになりました。
少量のカフェイン摂取であれば,ほとんどのカナダ人にとって心配あらへん。
せやけど,過剰摂取は不眠症,頭痛,イライラ感,脱水症,緊張感を引き起こすで!特に子供や妊婦,授乳中の女性は注意しぃや!
要するに,健康な成人は最大400 mg / 日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯) までを推奨制限量にする言うことやでっ!(おっ,日本の無水カフェインの用量をはるかに下回ってるぅ~!!!)
カフェインの影響がより大きくなってまう妊婦や授乳中,もしくは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)までに制限することを推奨させてもらいますわぁ~。
あと,子供はカフェインに対する感受性が高いから,体重に関係なく,
- 4歳~6歳の子供は1日最大45mgまで
- 7歳~9歳の子供は1日最大62.5mg
- 10歳~12歳の子供は1日最大85mg (355ml入り缶コーラ1~2本に相当) まで
- 13 歳以上の青少年についてはどうするねん?って話やと思うんやけど,データが不十分やから,確定した勧告は作成せぇへんかった。でも1日当たり 2.5mg/kg体重 以上のカフェインを摂取しないようにしてやっ!
これらを推奨最大量として明記するわっ!
・・・カナダ人がこんなに関西弁なわけはないですが,僕なりに訳すとこうなりました。けど,明確やんね。わかりやすい!
妊婦に対するカフェイン摂取量の制限は世界保健機関(WHO) 3) と英国食品基準庁(FSA) 4) が制限を明確にしている
2001年にはWHOが,妊婦はコーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべきと公表し,
Effects of caffeine on the foetus are not well established yet.
Tea,cocoa and cola-type drinks contain about the same amount of caffeine while coffee contains about twice as much caffeine.
Try to limit your coffee intake to 3-4 cups a day.
http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0020/120296/E73182.pdf より引用
FSAが妊娠した女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を200 mg (コーヒーをマグカップで2杯程度) に制限するよう求めてるんやわ。FSAは同時に,「高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性がある」と示す証拠があるとも言うてます。
ただし,日本においても,世界においても個人差が大きいから1日あたりの摂取許容量は設定されず
冒頭に書いた通りやねんけど,カフェインを一生涯摂取し続けたとしても,健康に悪影響が生じないと推定される1日当たりの摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)については,個人差が大きいことなどが理由で日本においても,国際的にも設定されていない。
これが最初に書いた無水カフェインの用法・用量が『1回100mg~300mgを1日2~3回服用する』と今もなっている理由やったってわけやね。
しかし・・・1回300mgはやっぱり多いよね??ここは改訂してもいい気がしました。
カフェインを摂取し過ぎた時に出る副作用の症状って何ですか?
大事なのでこれは書いておこう。
Q.1 清涼飲料水など食品に含まれるカフェインを過剰に摂取することは健康に問題があるのでしょうか。
A.1
カフェインを過剰に摂取した場合には,中枢神経系の刺激によるめまい,心拍数の増加,興奮,不安,震え,不眠症,下痢,吐き気等の健康被害をもたらすことがあります。厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~ より引用
(*太字・黄色マーカーは筆者による)
カフェインの効能・効果ってなんて書かれているかもおまけで書いておきます
カフェインの効能効果って何なんでしょうか?これも知っておきたいと思う方がいると思いますので書いておきますわ。
効能・効果
ねむけ,倦怠感,血管拡張性および脳圧亢進性頭痛(片頭痛,高血圧性頭痛,カフェイン禁断性頭痛など) [/box]
まとめと食品に含まれるカフェイン量の一覧表
それではまとめていきましょう。
カフェインは,ねむけ,倦怠感,血管拡張性および脳圧亢進性頭痛(片頭痛,高血圧性頭痛,カフェイン禁断性頭痛など)に効果を示すもので,コーヒーや紅茶,緑茶,エナジードリンクなど含まれる飲料も多く日常的に摂取するものです。
そんな飲料と薬局でもらうお薬,一緒に飲んでいいのでしょうか?
答えは,一部を除いては基本的にNGとは言い切れない。というものでした。注意すべきは喘息のときに服用するキサンチン系の気管支拡張薬が最も意識するところかもしれません。
さて,それではカフェインの副作用が気になってきます。カフェインを過剰に摂取した場合には,中枢神経系の刺激によるめまい,心拍数の増加,興奮,不安,震え,不眠症,下痢,吐き気等の健康被害をもたらすことがあるので気になって当然でしょう。
死亡事故も起こっているくらいですから,1日どのくらい摂取すると危険なのか?これは知っておきたいので調べた結果,
- 健康な成人は最大400 mg / 日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯) まで
- 妊婦や授乳中,もしくは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)まで(FSAは200mg/日を推奨)
- 13歳未満の子供はカフェインに対する感受性が高いから,体重に関係なく,
- 4歳~6歳の子供は1日最大45mgまで
- 7歳~9歳の子供は1日最大62.5mgまで
- 10歳~12歳の子供は1日最大85mg (355ml入り缶コーラ1~2本に相当) まで
- 13 歳以上の青少年については1日当たり 2.5mg/kg体重 以上のカフェインを摂取しないようにすること
このような基準が設定されていることがわかりました。
安全な基準を知っておくことは身を守るための知恵になるので,これは知っておいて損はないでしょう。
最後に,食品に含まれるカフェインの量の目安を一覧表にして貼って終わります
(参考)
食品中のカフェイン濃度
食品名 カフェイン濃度 備考 エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料
(清涼飲料水) 32~300 mg/100 mL
(製品1本当たりでは,36~150 mg) 製品によって,カフェイン濃度及び内容量が異なる。 コーヒー(浸出液) 0.06 g/100 mL
(=60 mg/100 mL) 浸出法:コーヒー粉末10 g,熱湯150 mL インスタントコーヒー(粉末) 4.0 g/100 g
(2 g使用した場合,1杯当たり80 mg) せん茶(浸出液) 0.02 g/100 mL
(=20 mg/100 mL) 浸出法:茶葉10 g,90℃湯430 mL,1 分 ほうじ茶(浸出液) 0.02 g/100 mL
(=20 mg/100 mL) 浸出法:茶葉15 g,90℃湯650 mL,0.5 分 玄米茶(浸出液) 0.01 g/100 mL
(=10 mg/100 mL) 浸出法:茶葉15 g,90℃湯650 mL,0.5 分 ウーロン茶(浸出液) 0.02 g/100 mL
(=20 mg/100 mL) 浸出法:茶葉15 g,90℃湯650 mL,0.5 分 紅茶(浸出液) 0.03 g/100 mL
(=30 mg/100 mL) 浸出法:茶葉5 g,90℃湯360 mL,1.5~4 分(注)
エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料(清涼飲料水)は,市販11製品の成分表示等(2015年12月22日)
コーヒー,インスタントコーヒー,紅茶,せん茶は,「日本食品標準成分表2010」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.htm (外部リンク)農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html より引用
参照ページ一覧
1) 日本薬局方無水カフェイン水和物の添付文書 http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00007786.pdf
2) カナダ保健省 http://www.healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2010/13484a-eng.php
3) 世界保健機関(WHO) http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0020/120296/E73182.pdf
4) 英国食品基準庁(FSA) http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20120206100416/http://food.gov.uk/news/newsarchive/2008/nov/caffeinenov08



今回の記事はいかがでしたか? アナタのお役に立てていれば幸いです! もし良ければコメント欄から記事を読んだ感想や,ご意見,ご質問など寄せて下さい☆待ってます!!
記事の感想など,ひとこと頂けますか?