花粉症の薬の「効果の強さ=眠気の強さ」は真実ではないねんぞ!!!
今回はこれを根拠を提示しながら主張していきます。
ちょーっと花粉症の薬の効果について検索をかけると,
「花粉症の薬は眠くなるものほどよく効きます!特に第一世代のポララミンが眠いけど最強!!」
なんて記事を見かける。2017年になった今でも。
2017年になった今でも眠気が出るものが効果が高いなんて言うとる(怒)!
・・・アホか。その考えは古いで?
てか,勉強してんのか?
眠気と効果に関連性なんてないっちゅうねん!
5年以上前に証明されてるわ!!
てなわけで,今回の記事は,花粉症の薬の効果の強さ=眠気の強さと思っている古臭い考えをぶっ壊したる!という意気込みでお届けしまっせ☆
寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!!
ちなみに,薬の前に,マスクやメガネで花粉を体に入れないことの大事さを書いた前回の記事,
花粉症にマスクは有効か?当たり前じゃ!マスクの効果を数値で示したる!!

も併せ読みしていただきたいねん。花粉症は薬だけが大事とちゃうからね。
花粉症の薬は眠くなる方が良く効く!はマチガイです!
「花粉症 薬 効果の強さ」なんて感じで検索すると,花粉症の薬の強さランキング~♬的な記事が出てきますが,
根拠のないウソが書かれとる。
まぁ,どいつもこいつも
効果が強いお薬わぁ,やっぱりぃ~,眠いんでちゅよね!
とか寝ぼけた事を書いてますわ。
メガシャキでも眠眠打破でもええから飲んで目を覚ましなさい!と言いたい。
ハッキリ言おう。眠くなるのは薬の成分が単純に脳に移行しているだけや。
花粉症で症状が出る目や鼻やのど,そういった局所の抗ヒスタミン作用(花粉症の症状を抑える作用のことね)とは全く関係あらへん。むしろ脳に移行する薬なんか使う必要性がないねん。いらんねん,そんな作用。
抗ヒスタミン薬が脳に移行するとなぜ眠いの??
ここに触れておこか。これ知ってると,なるほど感が増すと思うねん。
ヒスタミンは体においてはアレルギーの原因物質として知られているんやけど,
脳においてヒスタミンはアレルギーに全く関係ない働きをしてるねん!
脳におけるヒスタミンの働きは主に3つ
- 集中力を向上させる(作業能率をアップさせる)
- 判断力を向上させる
- 目を覚ましている状態の維持に働く(覚醒状態の維持)
この3つの働きをしているねんよ。
だ・か・ら
抗ヒスタミン薬が脳の中にまで入っていっちゃってヒスタミンを抑えちゃうと,
- 集中力の低下や作業能率の低下➡学生なら学力低下(勉強やテストに集中できないとか),社会人なら仕事でつまらないミスをしてしまう。しかも,集中力が低下している自覚はない状態になっているねん(これを専門用語で【インペアード・パフォーマンス(無意識に集中力が落ちる状態)】っていうねんで)
- 判断力の低下➡怖い話やけど,自動車の運転で,抗ヒスタミン薬が脳に働いた場合,危ない!と思ってからブレーキを踏むタイミングが遅くなるねん。だから機械作業や車の運転に気を付けろ!って注意書きがあるねん。ちなみにこれもインペアード・パフォーマンスの例やわ。
- 眠くなる➡脳の覚醒状態を維持するヒスタミンを邪魔してしもてるから,そら,眠くなるって理屈はわかるわな?
つまり,脳に抗ヒスタミン剤が入っていってしまう事は,百害あって一利なし!!!ってこっちゃな。
しかし,抗ヒスタミン成分が脳に入るほどって事は,やっぱり効果が高いからなんじゃないの??
って思う人もいると思う。
結論はNoやねんけど,それを科学者は科学的に回答を出してん。その科学的回答を出した試験を紹介していこうと思う!
花粉症の薬の効果の強さ≠眠気の強さを証明した「ACROSS trial」
そこで,けいしゅけが皆さんに主張したいのが,この「ACROSS trial」の結果や。
この試験の背景や目的,結果を順番に紹介していくわ。
これを読んでいけば冒頭のけいしゅけの毒舌の根拠がお分かりいただけると思う。
「ACROSS trial」実施の背景
最近の処方薬は第2世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるものが主流や。
僕が過去に書いた記事の,ビラノア錠やデザレックス錠なんかは2016年に発売された新規の第2世代抗ヒスタミン薬の事やねん。
これらの特徴はとにかく,効果が高くて眠くならない事や。
なのに!日本ではまっだまだ眠気が強く出る第1世代抗ヒスタミン薬が多く使われているねん。
データ的にちょい古いが,2010年に使われた第一世代抗ヒスタミン薬の処方量のシェアは49%もあったんやで 1)?この理由は約半数の処方医や患者が「効果の強さ」=「眠気の強さ」と思っていたからやってん 2)。
ホンマにその考えは合ってんのかいな?
という疑問からNPO法人「皮膚の健康研究機構」が2010年1月~10月にかけて,実施した比較検討試験こそ,「ACROSS Trial(Antihistamine CROSSover Trial)」やったってわけよ。
「ACROSS trial」ってどんなことをやったの?
ほんじゃあ,この比較試験の具体的な実施内容を説明しよか☆
この比較試験はアトピー性皮膚炎および慢性じんましんの患者さん502例(多いでしょ?)を対象にして行われた多施設無作為化オープンラベルクロスオーバー比較試験やねん。
多施設無作為化オープンラベルクロスオーバー比較試験てなんや?
1つではなく,いくつもの施設で行う(多施設)
治療法などの効果を検討する際に対象者をランダムに2群に振り分ける。確率的に2群に振り分ける方法なので,誰もどちらの群になるか予想できへん(無作為化)
そして薬の効果を確かめる為に医師にも患者にも使う薬剤が偽物ではなく本物であると内容を教えて実施する方法(オープンラベル試験)
2つの群は途中から服用する薬を入れ替える(クロスオーバー試験)
これら全部の要素を集めたのが多施設無作為化オープンラベルクロスオーバー比較試験や。
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①非鎮静性抗ヒスタミン薬としてタリオン錠(ベポタスチンベシル酸塩)を1回10mg,1日2回経口服用する群
②鎮静性抗ヒスタミン薬としてポララミン錠(d-クロルフェニラミン)を1回2mg,1日3回経口投与,もしくはザジテンカプセル(ケトチフェン)を1回1mg,1日2回経口投与する群 3)。
この2つのグループ分けによって「効果の強さ」と「眠気の強さ」は関係あるのか!?
を調べたわけや。
「ACROSS trial」の結果は?
- 鎮静性抗ヒスタミン薬を飲んだグループが非鎮静性の抗ヒスタミン薬を飲んだグループに比べて有意差をもって薬の服用後に眠気が出た
- 痒みを抑える効果については,両方のグループの間で効果が出たものの,その効果の差に有意差はなかった。
- ついでに言うと,鎮静性の抗ヒスタミン薬を飲んだグループには眠気の他にも,8例9件(口の渇き2件,倦怠感5件,下痢1件,ふらつき感1件)の有害事象(副作用)が出た。それに対してタリオン(ベポタスチンベシル酸塩)を飲んでいる方のグループにはそういった副作用は1例も出なかった。
という明快な結果が出たのよ。
[aside type=”normal”] 結果をサクッと強調して書いてみる🎵
第2世代の抗ヒスタミン剤のタリオン(ベポタスチンベシル酸塩)を飲んでいるグループは,第1世代のポララミン(d-クロルフェニラミン)やザジテンカプセル(ケトチフェン)(👈※ザジテンは第2世代に分類されるねんけど眠気が出やすいねん!)と比較して,
- 効果の強さは変わらない
- 眠気や口の渇き,倦怠感,下痢,ふらつきといった副作用は出なかった
これからわかったのは,
「効果の強さ」≠「眠気の強さ」
だという結論に至ったんや!!!!
さらに,安全性の観点から,蕁麻疹診療ガイドライン(日本皮膚科学会ガイドライン)に基づいて鎮静性の低い第2世代抗ヒスタミン薬を第1選択薬として扱うべきや!と強調するに至ってん!! 4)。
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まとめ~花粉症の薬は眠気の出ない第2世代抗ヒスタミン薬を選べ!~
そんなわけで冒頭のけいしゅけの毒舌の根拠がわかっていただけたと思う。
「花粉症 薬 効果の強さ」の検索結果の順位変えてほしいでホンマに。
何回でも言うで。
「効果の強さ」≠「眠気の強さ」や!
てなわけで,最後に眠気の少ない第2世代抗ヒスタミン薬のランキングを載せてこの記事を終えようと思います。
参考にしてください。
- ビラノア錠(ビラスチン)&デザレックス錠(デスロラタジン)
- タリオン錠/タリオンOD錠(ベポタスチンベシル酸塩)
- アレグラ錠(フェキソフェナジン)
- アレジオン錠(エピナスチン)
- エバステル錠(エバスチン)
これらは脳内への移行性が10%以下のものや☆
ちなみに,脳内への移行性が低いというのは熱性けいれんに関わってくる重要なポイントやねん。
主に5歳以下のお子様を持つ方は,熱性けいれんについて全ての情報を書いたで!症状・対応方法・坐薬の使い方など全部の疑問に答えたる!!!という記事に詳しく書いていますので,お読みくだされ☆

3位から5位は市販薬として売ってます!
3位のアレグラは売れ筋やね。
薬学的にこのアレグラの成分,
フェキソフェナジンは鼻づまりにも非常に効果が高い!
とお墨付きの商品や。
なので,この中ではけいしゅけはアレグラを最もオススメします!
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4位のアレジオンは1日1回の服用ってのがエエ感じ🎵
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アレジオン10というのも売ってるけど,大人は20mgのアレジオンでないと効果が不十分やで。
5位のエバステルも1日1回でいいねん。ただし,エバステルは第1類医薬品になるのでドラッグストアでかつ,薬剤師の説明を受けないと買えないので面倒やな。
出典:
1) 株式会社医療情報総合研究所(JMIRI)の調査より
2) 川島眞 監修. 抗ヒスタミン薬の真・事実. じほうヴィゴラス, 2011.
3) 川島眞 ほか. J Clin Therap Med. 2011; 27: 563-573.
4) 秀道広 ほか. 日本皮膚科学会雑誌. 2011; 121: 1339-1388.

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