2017年3月24日, 塩野義製薬 が オピオイド誘発性便秘症 ( OIC ) 治療薬 Symproic® ( 一般名 : ナルデメジン )が米国FDAより承認を取得したことを発表してんけど知ってる?
塩野義製薬の米国子会社,Shionogi Inc( 本社 : 米国ニュージャージー州 ) が米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請していた「 Symproic® 」( 一般名 : ナルデメジン )について,2017年3月23日付で ” 成人非がん性慢性疼痛患者における オピオイド誘発性便秘症 ( OIC ) ” を適応症として承認を取得したことを発表したのよ。(参考:http://www.shionogi.co.jp/company/news/2017/qdv9fu0000014orr-att/170324_2.pdf)

Symproic®(ナルデメジン)の作用機序,用法と米国での発売は?
ひとまずアメリカでの発売が先行するので,国内販売が待ち遠しいものやけども,現在わかってる範囲で オピオイド誘発性便秘症 ( OIC ) 治療薬 Symproic® ( 一般名 : ナルデメジン )の作用機序と用法,ついでにアメリカにおける発売日を紹介していくわ。
ナルデメジンの作用機序
モルヒネなどに代表されるオピオイド鎮痛薬は,脳内のμ(ミュー)オピオイド受容体に作用して,バファリンやロキソニンなんか比べ物にならんくらいの強い鎮痛作用を示すねん。

一方で!お腹,つまり腸の中に存在するμ受容体にも作用してしまい,効果としては腸の活動を低下させてしまうねん。
[aside type=”normal”] 補足説明するで🎵
OIC: Opioid-Induced Constipation ( オピオイド誘発性便秘 )のメカニズム
オピオイドは胃と腸に作用してそれぞれ吐き気や食欲不振,便秘の原因を作るねん。
胃に対しての作用メカニズム
- 部分的に胃がマヒする・・・食べ物が胃の中に長い間残る⇒結果として吐き気や食欲不振を起こす
腸に対する作用メカニズム
- 小腸の真ん中で非推進収縮を起こし,縦の推進力である蠕動運動を抑制⇒腸の中で食べ物が動けなくなる
- 消化液の分泌を減らし,便意を抑える
このメカニズムによって,腸管には便が溜まるし,溜まっているにもかかわらず消化液の分泌が減っていることによって便意が抑えられてしまう結果,非常にヒドい便秘を引き起こすねん。
[/box]
引き起こされた便秘は非常に重い症状(OIC)で,これは長期間オピオイド鎮痛薬を飲んでいる患者さんの約半数で認められるとも言われているねん。もちろん生活の質( QOL : quality of life )は著しく低下させるし,何よりもオピオイド鎮痛薬治療の中断につながってしまう。これじゃ疼痛管理がうまくいかなくなってまうやん!!??
ナルメテジン の 作用機序 として,オピオイド鎮痛薬の鎮痛効果を落とすことなく,腸など末梢のμオピオイド受容体に結合し,オピオイド鎮痛薬の作用に拮抗することで副作用である便秘症状を緩和するという 作用機序 となっている。
ちなみに,新しい作用メカニズムによる薬が出ているので紹介しているページがありますので併せて読んでみてくださいね☆


ナルデメジンの用法は??
アメリカでのデータになるけれど,Symproic® の用法は1日1回の投与になっている。用量は 0.2mg/ 回
アメリカではナルデメジン( Symproic® )はいつ発売になる見込み?
塩野義製薬の 発表によれば,2017年度第二四半期(4月1日~9月30日)を予定しているとのこと。
現在,第3相臨床試験(COMPOSEⅢ)結果の概要はどうなってる?
これ,気になるよね?第3相試験という事は,一般にはコントロール(対照)を置いた比較対照試験が行われたことを意味しているねん。有効性,安全性についてはっきりした証拠を集める目的を持ってやっている試験が第三相試験やで。
PAINWeek 2016にて良好な試験結果を公表
公表された第3相試験の結果の概要は以下の通り
- 非がん性慢性疼痛の治療のためにオピオイド鎮痛薬を服用中でオイオイド誘発性の便秘症を呈している患者さんを対象に ナルデメジン ( 経口剤 0.2mg 1日1回 ) の長期安全性並びに有効性を,プラセボを対象として52週間にわたり確認した
- ナルデメジンの忍容性はおおむね良好であった。発現率が5%以上でプラセボ群と比較して有意な差を認めた有害事象は腹痛,下痢および嘔吐の消化器症状のみであった。
- オピオイド受容体拮抗薬であるナルデメジンの投与によっても,オピオイドの鎮痛効果が弱まることは確認されなかった。
- 治療期の各時点における1週間当たりの排便回数のベースラインからの変化量は,プラセボ群と比較してナルデメジン投与群で有意に増加した
試験の内容 : COMPOSEⅢについて
【目的】
オピオイド誘発性便秘症(OIC)を有する非がん性慢性疼痛患者を対象としたナルデメジンの長期安全性及び有効性の検討
【試験デザイン】
多施設共同,無作為化,二重盲検,プラセボ対照,並行群間比較試験
【使用薬剤・投与期間】
ナルデメジン 0.2mg 錠またはプラセボ錠,1日1回 52週間 経口投与
【症例数】
各郡 約 620 例
【試験結果】
■発生率が5%を超え,ナルデメジン投与群の発現率がプラセボ投与群を上回る有害事象のまとめた表が以下
ナルデメジン群 | プラセボ群 | |
腹 痛 | 8.2% | 3.1% |
下 痢 | 11.0% | 5.3% |
嘔 吐 | 6.0% | 3.1% |
■ナルデメジンの投与によりオピオイドの鎮痛効果への影響は認められなかった。さらに,オピオイド退薬症状の発現率は,いずれの投与群でも低かった(つまり有意差はでなかったということ)
■ナルデメジンは治療器の各時点において,ベースラインから1週間当たりの排便数を有意に増加させた。
およそ2~3回/週だった排便回数が,4回/週になった結果が出ている。
日本での発売は未定だけれど,おそらくこの薬は承認される気がする!
これは,けいしゅけの期待もあって承認される!と言うてみた。
第3相試験の結果を見る限り,これは有害事象は少ないし,胃腸症状がデータとして出ているものの元々オピオイドで胃腸症状が出ていたことを思えばかわいいものかもしれない。
なんせ,オピオイド治療が継続できることが大事なんやから!!
この薬にホンマに期待するのはこの効能やで。
やっぱりオピオイドが必要になる終末期医療(今のところがん性疼痛でオピオイドを使用している患者へのナルデメジンにその適応はないけど)になれば,OICによるオピオイドからの脱落は本当に,人生の終わりを痛みと共に過ごさせてしまうことになる。
少しだけでいいから,少しでも楽にしてあげたいもの。
早く承認されて日本にやってこい!ナルデメジンよ!!
追記:承認されました➡スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジン)承認!待望のオピオイド誘発性便秘症治療薬の作用機序は?

今回の記事はいかがでしたか? アナタのお役に立てていれば幸いです!
もし良ければコメント欄から記事を読んだ感想や,ご意見,ご質問など寄せて下さい☆
待ってます!!
記事の感想など,ひとこと頂けますか?