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グーフィス錠5mg(エロビキシバット)~新機序の便秘薬~をPubMedを使って独り勉強会してみた!

グーフィス錠5mgって何ですか?エロビキシバットという成分名もおもしろい

まいど!けいしゅけ(@keisyukeblog)です☆

2017年の最初にもウンコちゃんに関する記事(リンゼス錠0.25mg-便秘型過敏性腸症候群(IBS)の作用機序などについてまとめたで!)からはじまった当ブログなのですが、今年もタイミングよく慢性便秘症の新薬の情報をキャッチしたので独り勉強会をしてみたで!!

その名も グーフィス錠5mg(成分名:エロビキシバット)

けいしゅけ

AHEADMAPに入会してEBMを学び始め、【薬剤師のための医学論文の読み方・使い方】を読みながら論文を読む練習を重ねてきた結果、勉強会って自分独りでインタビューフォームとPubMed検索すれば、かなりの情報が集められることがわかったわ。

もちろん、メーカーMRさんの中にはすんごいオタク的な詳しい話を聞かせてくれる方もいるので、薬局内勉強会もやらないよりかはやった方がマシかも知れへん。 

では、グーフィス錠5mg(成分名:エロビキシバット)について勉強したことを皆さんと共有しようと思います!!

グーフィス錠5mg(エロビキシバット)の基礎情報

作用機序は?

エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させる。

胆汁酸は、大腸管腔内に水分および電解質を分泌させ、さらに消化管運動を亢進させる為、本剤の便秘治療効果が発現する。

グーフィス錠5mg添付文書より引用(強調は筆者による)

その他、作用機序については PMID 23215781 を参照する事でも情報を得られたで☆

Expert Opin Investig Drugs. 2013 Feb;22(2):277-84. doi: 10.1517/13543784.2013.753056. Epub 2012 Dec 8.
Elobixibat for the treatment of constipation.

Wong BS, Camilleri M.

という論文がヒットした。しかし、アブストしか読めないので、さらに PMID 26139989 へと飛んで行ってみる。

World J Gastroenterol. 2015 Jun 28;21(24):7436-42. doi: 10.3748/wjg.v21.i24.7436.
Inhibition of ileal bile acid transporter: An emerging therapeutic strategy for chronic idiopathic constipation.
Mosińska P, Fichna J, Storr M.

という論文がヒット。これは全文読める。

Elobixibatは、IBATの阻害を介して回腸での胆汁酸(BA=bile acid)再取り込み阻害する; この過程の間、BAの肝臓合成は、腸肝循環(EHC=Enterohepatic circulation)ホメオスタシスの維持のためにアップレギュレートされる。興味深いことに、コレステロール誘導体の合成が促進されることにより、肝臓におけるコレステロール貯蔵の枯渇をもたらし、同時に肝細胞上の低密度リポタンパク質(LDL)受容体の発現を刺激し、血清LDLのレベルを低下させる。

190人のCIC患者における最近のプラセボ対照第II相臨床試験(PMID:21606974)で(ランダム化比較試験、試験期間は8週間)、elobixibat 10mgおよび15mg群の患者の大部分は、最初の治療から24時間以内に排便の増加を示した。さらに、elobixibatの効果は投与期間の8週間にわたって維持された。

けいしゅけ

効果に関する情報は論文の原著を読むことでしっかり理解することができたで☆

きっとMRさん達がセールストークで使うであろう”コレステロール値の低下”なんてキーワードも拾うことができたわ。

コレステロール値への影響については後ほど、他の論文を読んでどの程度の効果があるのか見てみることにしよう。

用法・用量と、関連する使用上の注意

通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。

なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

けいしゅけ

1錠で5mgやから、1回2錠を1日1回食前に飲むのが基本ってことやな。

増量するとしても1回3錠まで。これはしっかりと覚えておきたい!

ちなみに、日本人における用量決定は、PMID: 28840422 DOI: 10.1007 / s00535-017-1383-5をチェックしてみるといいで☆

J Gastroenterol. 2017 Aug 24. doi: 10.1007/s00535-017-1383-5. [Epub ahead of print]
Determining an optimal clinical dose of elobixibat, a novel inhibitor of the ileal bile acid transporter, in Japanese patients with chronic constipation: a phase II, multicenter, double-blind, placebo-controlled randomized clinical trial.
Nakajima A, Seki M, Taniguchi S.

このフェーズⅡの試験によって日本人への投与量は1日10mgが最適と決定されたみたいやわ。

〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与
しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。

タコちゅけ

この腹痛が問題なんでちゅよね?先生。

けいしゅけ

せや。確かに胆汁酸によって腸の動きが活発になるんやからお腹が痛くなるのはよくあることやろうけど、その頻度が多すぎるねん。

グーフィス錠5mg(エロビキシバット)のインタビューフォームP.34を参照してみると、

腹痛の副作用の発現率は24.1%(82/340)下痢は14.7%(50/340)全体の副作用発現率は47.9%(163/340)

比較対象として、昨年発売されたリナクロチド(リンゼス錠0.25mg)のインタビューフォームP.45を見てみよう。

対象患者は便秘型IBSと診断された患者であることを差し引いて考える必要はあるけれど、結果は驚くほど副作用発現率が低いのが特徴や。

腹痛の副作用の発現率は1.6%(14/855)下痢は13%(111/855)全体の副作用発現率は21.5%(184/855)

ちなみに、センノシド錠12mg(プルゼニド錠)と比較してみたらどうだろう?本剤のインタビューフォームP.11を参照した。

腹痛の副作用の発現率は11.9%、下痢は1.1%、全体の副作用発現率は15.0%(96/638)である。

タコちゅけ

エロビキシバットの副作用発現率が突出して高いでちゅ!!

けいしゅけ

そやねん。ちょっとこれは気になるポイントやと思う。

けども、これだけでエロビキシバットをダメな薬、使えない薬と断定はできひん。もうちょい情報を掘り下げていこうや、タコちゅけ。

タコちゅけ

はいっ!!

気になる相互作用はどうですか?飲み合わせの悪い薬を調べてみよう

まず、絶対に飲み合わせてはいけないもの。これは存在しない。

ただし、併用注意は注目すべき情報があるのでチェックしておこう!!添付文書情報をチェックや!!

併用に注意が必要な薬 一緒に飲むとどうなる? 何でそうなるの?
 胆汁酸製剤

ウルソデオキシコール酸

ケノデオキシコール酸

これらの薬の効果が減弱する恐れあり  本剤の胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害作用により、胆汁酸製剤の再吸収が阻害されるおそれがある。
アルミニウム含有制酸剤

スクラルファート水和物

アルジオキサ 等

エロビキシバットの効果が減弱する恐れあり これらの薬剤は、消化管内で胆汁酸を吸着するため、本剤の作用が減弱するおそれがある。
 コレスチラミン

コレスチミド

エロビキシバットの効果が減弱する恐れあり これらの薬剤は、胆汁酸を吸着するため、本剤の作用が減弱するおそれがある。
 ジゴキシン

ダビガトラン

これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。 本剤のP-糖蛋白質に対する阻害作用による。
 ミダゾラム  ミダゾラムの血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある 機序は不明

けいしゅけ

併用注意の薬剤、対象患者さんが多いんちゃうかなぁ???

つ、使いにくしっ!!!

エロビキシバットの効果が他の薬より優れているといったエビデンスはありますか?

けいしゅけ

結論から言います。

ありません!!!

なんとなんと、調べていくと、エロビキシバットちゃん。別に他の薬と比べて特別に効果がメッチャいいです!!とは言えないものであることがわかった。

PMID: 27287486  DOI: 10.1136 / gutjnl-2016-311835

Gut. 2017 Sep;66(9):1611-1622. doi: 10.1136/gutjnl-2016-311835. Epub 2016 Jun 10.
Comparison of efficacy of pharmacological treatments for chronic idiopathic constipation: a systematic review and network meta-analysis.
Nelson AD,et.al.

この論文がその根拠として僕は調べてみたで。(間違っていたらご指摘お願いします)

OUTCOMES:

Primary end points were ≥3 complete spontaneous bowel movements (CSBM)/week and increase over baseline by ≥1 CSBM/week. Secondary end points were change from baseline (Δb) in the number of SBM/week and Δb CSBM/week.

RESULTS:

Twenty-one RCTs (9189 patients) met inclusion and end point criteria: 9 prucalopride, 3 lubiprostone, 3 linaclotide, 2 tegaserod, 1 each velusetrag, elobixibat, bisacodyl and sodium picosulphate (NaP).

All prespecified end points were unavailable in four polyethylene glycol studies.

Bisacodyl, NaP, prucalopride and velusetrag were superior to placebo for the ≥3 CSBM/week end point.

No drug was superior at improving the primary end points on network meta-analysis.

Bisacodyl appeared superior to the other drugs for the secondary end point, Δb in number of SBM/week.

CONCLUSIONS:

Current drugs for CIC show similar efficacy.

Bisacodyl may be superior to prescription medications for Δb in the number of SBM/week in CIC.

論文原著を引用してみました。

残便感の無い自発的な排便(CSBM)が週3回以上あり、かつ、CSBMが薬を飲む前に比べて週1回以上増えるか?を主要エンドポイントとして検討した試験やねんけど、

ネットワークメタ分析の主要エンドポイントを改善する上で優れた薬剤はなかった。(No drug was superior at improving the primary end points on network meta-analysis.)

という衝撃の結果が待ってました~!!

ちなみに、2次アウトカムとして設定された、(薬を飲む前の)自発的排便=SBMや、残便感の無い自発的な排便=CSBMが、薬を飲んでから週当たりで増えるか?を検討した結果、

ビサコジルは、慢性特発性便秘(=CIC)の自発的排便(=SBM) /週の数において、他の処方薬より回数の増加が優れている可能性がある。(Bisacodyl may be superior to prescription medications for Δb in the number of SBM/week in CIC.)

なんていう結果のオマケ付き。

ちなみに、このビサコジル。皮肉なことに、市販薬で有名なあの薬の主成分である。

まさかのコーラックや。

けいしゅけ

皮肉すぎる・・・。

エロビキシバットってLDLを下げるんですか?

けいしゅけ

ここでも先に結論を言います。

コレステロールの数値を下げるかもしれないけど、代用のアウトカムであって、心筋梗塞のリスクを下げるなど、寿命が延びる!という検討はされてません。

よって、臨床的には今のところ意味なしっぽい!

PMID: 26197999 PMCID: PMC4511433 DOI: 10.1186/s12872-015-0070-9

でヒットした論文を読んでみました。

BMC Cardiovasc Disord. 2015 Jul 22;15:75. doi: 10.1186/s12872-015-0070-9.
Specific inhibition of bile acid transport alters plasma lipids and GLP-1.
Rudling M et.al

これです。

この研究の目的は、elobixibatの代謝効果を評価すること。

高脂血症患者における4週間のプラセボ対照研究を利用して血漿脂質および胆汁酸合成への影響​​を評価した。

ランダム化された人数が少ないし、用量が2.5mgと5mgの検討であって、慢性便秘に対する常用量よりも少ないことに注意が必要や。

ちなみに、論文の結論としては「LDLコレステロールとLDL / HDL比を低下させる」ってあるんやけど、論文中の図2を見る限り、有意差がついてないんよね・・・・。

さらに突っ込んで言うてしまうと、LDLを下げたから何なの?それって代用のアウトカムやんね?って話なわけで。

長期的に飲んでみて、心筋梗塞のリスクが低下するとか、生命予後が伸びるという検討をしているわけでもないわけですよ。

ハッキリ言って今のところLDLを下げる効果がある!という事自体には全く意味がないかも知れへんわ。

まとめ・感想

そんなわけでまとめてきました、エロビキシバット=グーフィス錠5mg®

ボチボチ残念な結果でしたね。

  • 作用機序:回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害して、胆汁酸の再吸収を阻害することによる結腸への胆汁酸排泄の量を増やして排便を促す新機序である
  • 用法・用量:1日1回、10mg(1回2錠)を食前に服用する。最高用量は15mg(1回3錠)まで。
  • 副作用として腹痛が多い!これは特筆すべき点かもしれない。
  • 併用注意の薬が多い事も特筆すべき点かも知れない
  • その作用機序から、コレステロールの数値を下げることが期待される
  • しかし、効果についてはネットワークメタアナリシスによると既存薬と比べて特に優れてない。強いて言えば、ビサコジルという市販薬で有名なあのコーラックがまだ他の薬よりも優れてるかもね!という衝撃の結果。
  • コレステロール値の低下に関しては、ただの代用のアウトカムに過ぎず今のところ臨床的に意味はない。ちなみに論文の結果を見ても特に有意差があるようには見えない。よって期待はできないかもしれない。

まとめると以上のようになります。

けいしゅけ

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