有意差 , p値 (p<0.05) 統計学用語の意味は?薬の臨床試験の結果で見る言葉を理解しよう!
まいど!けいしゅけ(@keisyukeblog)です☆
ある日,なにげなぁく卸のMSさんが持ってきてくれはった新薬の情報提供パンフレットを眺めてた。
パンフレットを読み進めていると,「この薬はプラセボ群に比べてp<0.05で,有意差ありと認められました」と書いてるねん。
これって理解できているものなのかしらん??ちょっと周囲のスタッフに尋ねてみる。
なるほろ。
この答えを聞いて過去の自分が蘇ってくる
~数年前のけいしゅけの話~
ある日,僕けいしゅけ(当時26歳くらいのワカゾウ君でした)は先輩にある質問をしたのです。

なるほどぉ!そういうことですかぁ☆
と返事を返しつつ,



いや,「p<0.05」だから「有意差あり」の理論について説明してくれへんのかぃ!有意差がある,そりゃ記載されてるんやからわかるわ!
けど,「p<0.05」って何や? 「有意差」って何や?
…まぁ,過去の自分のエピソードを振り返ると,最初から自分で調べとけって思うわけですが(照)
ひとまず僕もこんな会話を駆けだし薬剤師の頃にしてたんですよね。
なので,スタッフと
「有意差」とは何ですか?「p<0.05」の「p値」って何ですか??
なぁんて薬のパンフレットの記載の意味するところを説明できるようになっちゃおうと思うわけですっ!
ほんじゃ,いっくでーーーー!!!
有意差とは「偶然や誤差ではなく,意味がある差が存在する」こと
まずは有意差について。
見出しに答えを載せてますが,有意差とは「誤差でも偶然でもなく,意味のある差が間違いなく存在する事」を意味します。
糖尿病の新薬のパンフレットがあったとして,プラセボや既存の薬と比べて血糖値の改善に関する数値・グラフが見かけ上どれだけ大きかろうと,それが「有意差」を持って差がないのであれば,血糖値の改善は単なる偶然か数値の計測誤差である。
そういうことになるわけや。
つまり,「有意差」があることの証明こそ,その糖尿病薬が間違いなく既存薬やプラセボに比べて血糖値を下げる作用があることを証明することになるってわけです。
有意差の証明に必要なのは?そら誰から見ても「必然だ」とわかる基準
ほんじゃどうやって,偶然ではなく必然として有意差があると証明したらいいのでしょうか?その基準って何でしょうか??
これを調べていきたいですね。
①明らかに偶然って例
当たり前やけど,1人の人に飲ませて血糖値が下がったとて,
「こりゃ間違いなく糖尿に効く薬や!!」
と言えますか?
無理やんね。
他にも違う作用があるかもしれないし,今回はたまたま実験している時に被検者が低血糖を起こしていただけかもしれへん。
「こんなもん偶然ちゃうの?」
これが結論になるわけです。つまり,有意差はない(可能性が非常に高い)と結論付けられるんよ。
②偶然とも必然とも言い難い例
次に50人に投与して23人が血糖値が下がったとしよう。
これはどうですか?
「偶然や!」
とも言い切れないし,
「間違いなく血糖値を下げる作用があるものや!!」
とも言い切られへんよね。
この場合は,有意差はあるとは言い切れない。ってのが結論になりそうです。
③間違いなく必然と言える例
最後に,300人に投与して297人の血糖値が下がったとすればどうか?
こりゃもう,間違いなく血糖値を下げる作用はありそうや!と言えるやろうね。
そう,有意差あり。やわ。
この有意差のあり,なしの基準って感覚なん?いえ,違います。
ここまでの話の流れはふむふむ,と頷いてもらえると思う。
が,しかし!
同時に「で,結局のところ基準ってなんやねん?」
とも思っておられるのではなかろうか?
そう,ここで登場するのが「p<0.05」やねん
p値って何なの?p<0.05って何のこっちゃ?一言でいうてみぃ!!!



P値とは,統計的仮説検定において,帰無仮説の元で検定統計量がその値となる確率のこと。
つまり,p<0.05 ってのはな,確率が5%未満ってことや!!!!
そうなんです,一言で済むんです。p値とは,確率の事やねん。



ちなみに,「p< 0.05」の0.05は百分率の事で 5% を意味するで☆
もうちょっと細かく説明しよう。
プラセボとある薬A(糖尿病の薬の例のまま行こうか)で,その効果を示すデータがあったとするわ。
プラセボでは服用後5mg/dL血糖値を下げた
ある薬Aでは服用後15mg/dL血糖値を下げた
こんな感じのデータね。
プラセボとAの間にあるデータの差(15-5=10mg/dL ある薬Aの方が血糖値をプラセボより下げた)
これが偶然の産物である確率が5%未満である,という判断基準を示すのが「p<0.05」や。
なので「p<0.05」という数式を和訳するならば,「帰無仮説が起こる確率(プラセボとある薬Aでは効果に差なんかないという確率)pが,5%未満である。」って言えるんよ。
だから,帰無仮説は却下して,
その逆の説=対立仮設(プラセボに比べて,ある薬Aは間違いなく差が有って血糖値を下げるのだ!)を採用できるってわけさ。
わかりやすっっっ!!
偶然である可能性が低い事を証明して,必然であるとする。って回りくどいんすけど?
そやね,そうやねん!
鋭いな。
ではなぜ偶然である可能性が低いって事を証明することによってでしか必然を証明できないのか?
必然性は数式で表せないけど,偶然である可能性は統計学という数学を用いて数値化できるから
この一言に尽きるんです。
この偶然である可能性を統計学で算出したものがさっきから言うてるp値やってん。



精度を高めた統計にしようと思たらp<0.001とかにしてもいいねん。つまり偶然である可能性は0.1%未満であるってね。
まとめ
今回の記事のクエスチョンに対するアンサーは上記の通りとなります。
もしも今後,薬のパンフレットで「このお薬はプラセボや類似薬と比べて有意差があることが証明されてこの度,承認されました」
この一文に出会ったときに「それ,意味わかるよ!」って親近感を持って読み解いてもらえる助けになれたら幸いです。
なるほど,この薬は偶然や誤差ではなく,意味のある差をプラセボや類似薬につけたんやな。
ほうほう,その偶然や誤差ではない確率は,p<0.0Xってことは・・・X%未満ってことか!
そんな風に読み込むことができると思います。
ちなみに,逆説的に言えるんやけど,薬の効果の承認における判定って確率論であるという不確かさを持っていることも確かやねん。
やからこそ,新薬はたしかに面白いんやけど,僕は販売されてからずっと売れ続けている薬が好きやねんなぁ。 勉強会 は新薬だけやなしに,既存薬について行うことを勧める理由はコレです。
けいしゅけイチオシ勉強サイト
今回の記事はここまでや☆
最後まで読んでくださってホンマおおきにっ!!お時間を使って読んでくださったことに心から感謝申し上げます!
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コメント一覧 (4件)
けいしゅけさん。
いつも為になる記事有難うございます‼️
更新を待ちわびて暮らしています。
私事ですが福岡で薬剤師パートをしています。37歳と年齢は中堅なものの大学院で基礎研究にいて2年弱パート薬剤師を経験した後、出産育児で7年ほど休みました。ほぼ新人に近いのではなかろうかと思います( ´Д`)
空回りして辛い勉強がけいしゅけさんのおかげで楽しいものになってきました。
私も知りたい!分かりたい‼︎と薬学部にいたあの頃を思い出します。
お仕事とブログの両立尊敬します。
どうぞお身体大事に頑張ってください。
現場での勘所…のようなお話がぜひ聴きたいです。
最近現場にいたから知ったなぁと感じたのがリバスタッチパッチは18ミリから開始もあり…とかケタス服用時は脳梗塞既往が病院レセプトに必要な為、薬局でも念のため確認…禁煙補助剤使用後、禁煙に失敗したら1年経ったら保険治療をリトライできる…シアリスと尿酸治療2枚処方箋が出た患者さん、受付回数は2回になる…などなどです。
また取り上げて頂きたい記事リクエストさせてください。
統計の記事もありがとうございます✨
わかってるようでわかってないこといっぱいです。日々精進ですね(>_<)
現場にいる中で気づく勘所みたいなことが知りたいと切望しています。
(最近ではリバスタッチパッチ…
わたなべあけみ 様
コメントありがとうございます!身に余るお褒めのお言葉をいただき恐縮です。
僕のブログをキッカケに勉強が楽しくなってもらえたことが本当にうれしいです。
これからも、おもろい!!と思っていただけるような記事を書いていこうと思います!
そして、「現場での勘所」に関する記事、これはテーマとしておもしろいですね!ぜひ書かせていただこうと考えています!
他にも、こんな記事書いてよ!などあれば、遠慮なくコメントお寄せ下さいね☆
僕のブログの真ん中にある理念は「誰かの役に立つこと」なので、リクエストがあればできる限り応えたいと真剣に考えております。
今後とも、当ブログとけいしゅけをよろしくお願い申し上げます☆
薬学生です!
いつもブログ拝見させてもらってます。
本文中に納得できないところがあって、質問させてもらいます。
p<0.05」という数式を和訳するならば、「偶然ではない確率pが、5%未満である
とあるのですが
偶然である確率が5パーセント未満であるということではないでしょうか?
回答のほどよろしくお願いしますorz
みやざきじん 様
コメントありがとうございます。
再度、お返事のコメントをさせていただきます。
本文中の表現を改めました☆ ご指摘ありがとうございます!
帰無仮説が起こる確率pが起こる可能性は5%未満である。
これを少し別角度から考えて、対立仮説(p’としましょう)が偶然ではない確率が5%未満である。
そう表現したかったのですが、修正前の本文ではこれは表現として誤りですよね。
申し訳ありませんでした。修正させていただきましたので、ご確認ください。