
まいどっ! けいしゅけ(@keisyukeblog)です☆



新米薬剤師のタコちゅけでちゅ☆
『抗リン脂質抗体症候群の患者(いわゆる妊娠不育症と呼ばれる患者さんです)に低用量アスピリンを何週まで投与できるのか?』について記事を書いていきます。というのは,バイアスピリン錠100mgの添付文書には,妊娠28週以降の投与は禁忌って書いているんですよね。
抗リン脂質抗体症候群ってなんですか?




それでは,さっそく進んでいきましょう☆どうぞよろしくお願いいたします。もし,疑問点やご指摘,記事にしてほしい!といったご要望があればコメント欄へ遠慮なく書いてくださいね☆
抗リン脂質抗体症候群の患者さんに低用量アスピリンは何週まで投与できるのか?
ガイドラインでは,必要性の有無に応じて妊娠36週まで投与が推奨されている





今回の疑問に対して,まずはガイドライン1,2を参照したで☆
っちゅうわけで,低用量アスピリンが必ずしも妊娠28週(出産12週以内)の患者さんに禁忌とは言い切れないことがわかるんや。



ポイントは抗リン脂質抗体症候群であると診断されていて,かつ,28週以降の投与の必要性を医師が判断しているということなんでちゅね?



そのとぅーり!
論文情報など ①抗リン脂質抗体症候群について
APS(抗リン脂質抗体症候群)については,先に示したMSDマニュアルのみだとあんまり妊娠に関する情報が少ないので論文検索も行いました。下に示した文献などによりざっくりとアウトラインが理解できると思います。
An Update on Antiphospholipid Syndrome
Eleni Xourgia 1, Maria G Tektonidou 2
Affiliations expand
PMID: 34985625 DOI: 10.1007/s11926-021-01051-5
良さそうと思ったんですが,全文読めず…。
Managing antiphospholipid syndrome in pregnancy
Karen Schreiber 1, Beverley J Hunt 2
Affiliations expand
PMID: 31477227 DOI: 10.1016/S0049-3848(19)30366-4
アブストのみ。
APSは、静脈、動脈、微小血管における血栓症や産科的合併症など、様々な臨床表現型を示すことがあります。産科型APS(OAPS)の妊娠合併症には、重症の子癇前症、子癇、子宮内発育不全、その他の胎盤不全の影響による原因不明の再発性早期妊娠喪失、胎児死亡、早産が含まれます。アスピリンやヘパリンを用いた慎重な産科医療により、産科的APSの妊娠経過は改善され、現在、APSの妊婦の約70-80%が妊娠経過に成功していると言われています。
PMID: 31477227
Antiphospholipid syndrome and pregnancy
Rosanna Satta 1, Gabriele Biondi 2
Affiliations expand
PMID: 30375212 DOI: 10.23736/S0392-0488.18.06152-7
アブストのみ
APSは、一次性または他の疾患との関連性が考えられますが、妊娠が引き金となり、免疫学的および非免疫学的メカニズムによって臨床症状が引き起こされます。APSの特徴は、大小の静脈および動脈血管に血栓を生じることであり、体のどの部位においても、臨床症状は極めて多形であることがあります。網状皮斑は最も一般的な皮膚所見ですが、APS に特異的ではなく、潰瘍や紫斑などの他の皮膚所見が APS の唯一の症状であることもあります。診断は、臨床的および検査的基準によって確立されます。APS 患者には、カウンセリング、妊娠計画、妊娠中のモニタリングが必須である。治療は困難であり、主に抗凝固剤および抗凝集剤の使用に基づきます。
PMID: 30375212
論文情報など ②低用量アスピリンの投与期間について
論文検索する前に,抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドライン 南山堂を読み進めると,p.24からかなり詳細に書かれているため論文検索を割愛した。
● アスピリンの投与
リン脂質抗体症候群合併妊娠 p.27より引用
低用量(81〜100 mg/日)を妊娠前ないし妊娠後可及的早期より投与する.なお,研究班の症例解析でLDA+UFH治療群において,妊娠前からのLDA投与で34週未満早産のリスクが下がった.
解説は次のとおり.海外では妊娠全期間を通して投与が行われていることが多い10)が,わが国では妊娠28週以降の使用は禁忌となっている.わが国の妊娠と薬データベースの情報をまとめると,LDA投与に関してはほぼ安全であると考えられるが,分娩の1〜2週間前には出血傾向の問題を回避するために中止することが望ましいとされる.LDA使用妊婦の帝王切開の麻酔方針は医療施設ごとで異なることが予想されるため,妊娠後期まで投与を続けた場合の終了時期については各施設の状況によって判断される.LDA投与の終了時期の目安を妊娠28〜36週とするが,28週以降の継続はその必要性を十分に検討したうえで,患者の同意を得て行う.海外では,LDAによる奇形の明らかな増加はないと報告されている14, 15).
10) Keeling D, et al.:Guidelines on the investigation and management of antiphospholipid syndrome. Br J Haematol, 157:47-58, 2012. PMID: 22313321
14) Nørgård B, et al.:Aspirin use during early pregnancy and the risk of congenital abnormalities:a population-based case-control study. Am J Obstet Gynecol, 192:922-923, 2005. PMID: 15746692
15) Hernandez RK, et al.;National Birth Defects Prevention Study:Nonsteroidal antiinflammatory drug use among women and the risk of birth defects. Am J Obstet Gynecol, 206:228.e1-8, 2012 PMID: 22196851
産科処方で低用量アスピリンが出されている場合,何を確認したら良いですか?



タコちゅけ,患者さんに無理に聞き出そうとするのは避けることを大前提として…。産科からバイアスピリン処方が出ていたら,何を確認したら良いと思う?考えてみよう



う~ん,抗リン脂質抗体症候群であることの確認でちゅかね?



病名聞いちゃうの?
ストレート過ぎひん?もうちょい遠回しな言い方は無いかな?



う~ん…。
「妊娠何週目まで服用するか聞いてましゅか?」
これでどうでちゅかね?



いいね。患者さんが治療に対してどれだけ理解できているかも確認できる☆それで行こう。ちなみに,28週を超えて服用すると回答を得た場合はどうする?



なるほど!ここで『添付文書の”出産予定日12週以内の妊婦に禁忌”と記載があるけれども,確認したら3●週まで服用と確認しました。この患者さんは抗リン脂質抗体症候群合併であり,投与の必要性があるとの理解で良いですか?』といった聞き方をするんでちゅね?



バッチリやね。それでいいと思うわ。レセプト摘要コメントにもしっかりと記入して,薬歴の頭書きにも3●週まで服用(〇月△日の週まで)って記載すれば処方監査もしやすくなるわ。
参考文献一覧
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今回の記事はここまでや☆
最後まで読んでくださってホンマおおきにっ!!お時間を使って読んでくださったことに心から感謝申し上げます!
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