抗インフルエンザ薬 の タミフルドライシロップ3% の 1歳未満 への投与の 用法・用量 が追加になったと, 2017 年 3 月 24 日に 中外製薬 から正式に案内が出たんやけど知ってた?追加された用法・用量は『 新生児 ,乳児の場合に 3 mg / kg ドライシロップ剤 として 100 mg / kg )』
言うても2016年11月24日に厚生労働省は新生児,乳児(生後から 1歳未満 )への タミフルドライシロップ3% の「 3 mg / kg / 1回 1日2回 5日間の用法・用量 」という処方を保険適応として認めていたから,今さらですか?と思う方もいるかもしれへんね。
今回の記事の目的はただ一つ。実際の処方箋で1歳未満の赤ちゃんへのタミフルドライシロップ3%の処方が来ても投与量計算を間違えないこと。 1歳以上 では投与量は 2 mg / kg / 1回 (ドライシロップ として 66.7 mg / kg / 1回 )となっているので,これと混同しないように注意が必要になるねん!
今回の記事では,
- 1歳未満で3mg/kg / 1回 になった3つの理由
- 1歳未満への投与量計算
- 投与期間中に1歳の誕生日を迎える場合はどう計算する?
- 1歳以上への投与量計算
- ドライシロップ欠品時のタミフルカプセルを脱カプセルして賦形・調剤する方法
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これらを網羅していこうと思う!ほな,いくで~
1歳未満 で 3 mg / kg / 1回 になった3つの理由
タミフルドライシロップ3%を1歳未満へ投与する場合は, 3mg/kg / 1回 ( ドライシロップ剤 として 100 mg / kg / 1回 )とする。ってお知らせを読んだ時に素直に思うのが
いや,1歳以上に投与する場合より多いやん!!!
て事やんな?当然,理由を知りたくなる。なので,けいしゅけは理由を探ってみた。出てきた理由は3つやねんけど,これらの理由やったら「1歳以上の場合の投与量も見直せばいいのに!」というのが素直な感想やったわ。
理由① 欧米諸国での承認されている用法・用量が 3 mg / kg / 1回 だから
まずは3mg/kg / 1回 という数値がどこからきてんねん?って話や。
これはアメリカでの CASG114試験 と,ヨーロッパでの WP22849試験 という2つの臨床試験の結果,導き出されたんやってさ。結果だけざっくり言うと,3 mg / kg / 1回 よりも少ないと十分な有効性が得られない可能性が示されて,3 mg / kg / 1回 で十分な有効性が得られるとわかったという臨床試験やねん。
この結果を根拠にアメリカで2012年12月,ヨーロッパで2015年5月,オーストラリアで2015年10月にそれぞれ1歳未満の小児用量は3mg/kg / 1回 1日2回 5日間の用法・用量で承認されているねん。
理由② タミフルの薬物動態(吸収・分布・代謝・排泄)は民族間で差がないから
理由①だけやと,
海外でのデータなんか日本人に関係ないやん!
て思ったんやけども,さらに調べるとタミフルカプセル75審査報告書とタミフルドライシロップ3%,タミフルカプセル75審査報告書という資料に行き着くねん。興味があったら読んでいただくと良いんやけどけっこう読むと長いので結果だけ言うわ。
タミフルの成分,オセルタミビルは成分が吸収されて,体の中で広がって(分布),代謝されたあと,体の外に出る(排泄)という体内動態が民族間で変わらないということが分かったって話や。
この理由があるから①の理由が生きてくるわけやね。
理由③ 実は日本でも22例,3 mg / kg / 1回 で投与されていて,82%の症例に有効かつ有害事象および副作用報告がないこと
これ,けっこうビックリしたわ。オセルタミビルリン酸塩(タミフル)の小児1歳未満に対する投与量の使用実態調査の結果報告書っちゅうもんがありましてな。そこで,2015年12月から2016年5月にかけて使用実態調査が行われていたことと,調査の結果の報告が記されていてん!
これらの3つの理由を総合して,日本においても1歳未満の患者に対しての投与量は 3mg/kg / 1回 ( ドライシロップ剤 として 100 mg / kg / 1回 )とする。と決まってん。ふむふむって感じやろ?
実際に1歳未満の患者が来たら何グラム秤量したらいい?
それでは,1歳未満への投与量計算の具体的な数値を示すで!
添付文書に書かれている新生児 , 乳児 の場合に 3mg/kg / 1回 ( ドライシロップ剤 として 100 mg / kg / 1回 )
これ,わかりにくい!
タミフルドライシロップ3%が1歳未満の患者さんに出たら,
0.1g / kg / 1回
これで計算してください。シンプルに実際に秤量する時の単位の「g(グラム)」で書いたらメッチャわかりやすいでしょ?
げ!!投与期間中にこの子,1歳になる!!そんな時の投与量は??
投与期間中に1歳の誕生日を迎える場合はどう計算する?って思う方のために書いておこう。
まぁほとんど出会わないだろうけどね(笑)
万が一のために紹介しないわけにはいかんやろ?ということで,紹介するわ。
「処方期間に1歳の誕生日を迎える患者の場合は,受診時の体重を基準にして,(ドクターの裁量で)処方して下さい」
中外製薬はそう申しております。
・・・答えになってないやんなぁ。
カンタンに言うと,1歳の誕生日を迎える子にはタミフルの成分量として3mg/kg / 1回 で出そうが,2mg/kg / 1回 で出そうがそれは医師にお任せって事らしい。なんともスッキリしない回答だ。
個人的には,3mg/kg / 1回 ( ドライシロップ剤 として 0.1 g / kg / 1回 )が良いんじゃないの?と思う。有効性が十分じゃないってなったら困るからね。
ちなみに1歳以上の投与量ってどれくらいなの?
ちょっと聞くには恥ずかしい人のために。改めてここで勉強しとこうよ。
1歳以上の患者さんにはオセルタミビル量として, 2 mg / kg / 1回 ( ドライシロップ として 66.7 mg / kg / 1回 )ねん。
タミフルドライシロップ3%を1歳以上の患者さんに秤量する時は,
0.0667 g / kg / 1回 やで☆
おまけ☆ あ!ドライシロップ3%が欠品!タミフルカプセル脱カプセルで対応や!そんな時の調剤の仕方を紹介
完全にこれはおまけ。
最近はタミフルドライシロップの流通は安定しているので脱カプセルすることなんてまずないんやけど,
発注ミスなどでドライシロップがない!脱カプセル対応に切り替えじゃ!
ってなった時のための脱カプセル調剤のレシピをご紹介
タミフル脱カプセル調剤レシピ💛
- タミフルカプセル75mgを4カプセル脱カプセルします(75mg×4カプセル=300mgになる)
- 乳糖で賦形して,重さが全量で10gになればOK(300mg÷10g=30mg/g=30mg/1000mg=0.03=3%)
- あとは欲しい3%のタミフル脱カプセル散剤のグラム数に応じて4カプセルの倍数で計算すればいい。例えば,50g分の予製をしたい場合は20カプセル(4カプセル:X=10g:50gの比の計算を解けばいいねん)を脱カプセルして調剤すればOK!
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はい,できあがり☆
まとめ
タミフルドライシロップ3%の処方量に関しては,サワシリンの小児用量と同じように,年齢によって投与量の逆転現象が起きてしまったけれど,ひとまず1歳未満の子供に対しても処方ができるという意味においては大事なことや。
薬剤師としては,この投与量については知っておかないといけないし,かつ,実際の処方をみたときにスグ計算できるようになっておきたいもの。なので今回の記事をブックマークしたり,印刷してスグみられる状態にしておくのがオススメやで☆

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