患者は小児:サワシリン細粒10% 1日8g 毎食後 5日分

先生,この処方ってなんか量が多すぎまちゅよね??
ある日やってきたこの処方。ある意味ポピュラーな処方やけど,よく考えてみると面白いことがわかる。
処方量を成分量として計算すると1日800mgを3回に分けるので1回267mg。成人はサワシリンカプセル250mgが1日3回で処方されるのが一般的。
そう,この小児の処方は成人量よりも1回量が多いのだ。



サワシリンの小児用量として合っているから疑義照会はしたらダメやで♬
さぁ,みなさんはわかっただろうか?この処方は間違ってないねんで。これで疑義照会したら薬剤師としては勉強不足かも知れへん。ちょっとそれじゃカッコがつかへんので勉強しよか?



教えて欲しいでちゅー!!
タコちゅけにけいしゅけはゆっくりとしゃべくりだしたのだ・・・。
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サワシリンの添付文書で用法・用量を確認してみよう
サワシリン添付文書から引用(タップで開く)
効能又は効果/用法及び用量
1.サワシリンカプセル125,サワシリンカプセル250,サワシリン錠250
〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,淋菌,大腸菌,プロテウス・ミラビリス,インフルエンザ菌,ヘリコバクター・ピロリ,梅毒トレポネーマ
〈適応症〉
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,びらん・潰瘍の二次感染,乳腺炎,骨髄炎,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎(急性症,慢性症),精巣上体炎(副睾丸炎),淋菌感染症,梅毒,子宮内感染,子宮付属器炎,子宮旁結合織炎,涙嚢炎,麦粒腫,中耳炎,歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎,猩紅熱,胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症,ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
〈ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症〉
成人:アモキシシリン水和物として,通常1回250mg(力価)を1日3〜4回経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
小児:アモキシシリン水和物として,通常1日20〜40mg(力価)/kgを3〜4回に分割経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日量として最大90mg(力価)/kgを超えないこと。
〈ヘリコバクター・ピロリ感染症,ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎〉
・アモキシシリン水和物,クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用の場合
通常,成人にはアモキシシリン水和物として1回750mg(力価),クラリスロマイシンとして1回200mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回,7日間経口投与する。
なお,クラリスロマイシンは,必要に応じて適宜増量することができる。ただし,1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
・アモキシシリン水和物,クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合通常,成人にはアモキシシリン水和物として1回750mg(力価),メトロニダゾールとして1回250mg及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回,7日間経口投与する。
サワシリンの成人量を確認してみると・・・
アモキシシリン水和物として,通常1回250mg(力価)を1日3~4回経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
⇒つまり,成人量はベーシックラインとして,750mg~1000mgの投与量や。
続いて小児用量を読んでみる
アモキシシリン水和物として,通常1日20mg-40mg(力価)/kgを3-4回に分割経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日量として最大90mg(力価)/kgを超えないこと。
つまり,先述の処方でいえば,
例1)小児の体重が25kgだったとすると,1日500-1000mgの投与が可能。
さらに,最大量は2250㎎となります!(1回750mgってことになるよ)
例2)もうちょっとリアルな数値も出してみよか。
1歳児で大きめの子なら体重は10kgくらいやね。そしたらこの子供に投与できるアモキシシリンの最大量は?
そう,900mgやねん(1回300mgやね)
成人量を基準に小児用量を考えると投与量設計を間違える
これが答えになる。



そっかぁ~!!なるほどでちゅね!!!
すっきりでしゅ☆



どや?サワシリンってめっちゃ身近な薬やけど,深いやろ??



(なんか腹立つけど,スッキリしたのは確かでちゅ)・・・はい💛
小児用量は20~40mg/kgの最大90mg/kg!西の区(ニシのク)って覚えるんや!
強引(笑)
ええねん,なんでも。頭に入るならなんでもね。通常1日20mg~40mg(力価)/kg☞(ニシ)。1日量として最大90㎎(力価)/kgを超えないこと☞(ク)
これを覚えるためのしょうもないゴロが「西の区」じゃ!いやぁ,くだらないんやけど,大真面目(笑)。だって本気で大事やねんもん。
溶連菌の治療で使われる場合のアモキシシリン(サワシリン)の用量を併せて勉強しよう
せっかくやし,アモキシシリンが関連する疾患の治療用量も覚えちゃお。
溶連菌には30㎎~50㎎/kg/日で1日2~3回服用を10日分が基本
溶連菌のガイドラインなんかに載っているので疑う方は確認してくだされ。
ちなみにセフカペンピボキシル(フロモックス)で治療するパターンもありますわ。
その場合は9mg/kg/日で1日3回 5日分となりまっせ♪
心内膜炎の予防にアモキシシリン(サワシリンン)を使う場合の用量を知っていますか?成人量で2000mg(体格・体重によっては減量を考慮可能?),小児用量では50mg/kgを処置の1時間前に服用しまっせ☆
参考:感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2003)[/box]
これは知っていると面白いで。ってか知らないとわからへんわ。
処方箋の備考欄に1回8カプセル飲むよう指導してください。とか,患者さんが「一気に8個も飲むなんてしんどいわぁ」なんて言った場合は間違いなくこれや。
用法が頓服・処置の1時間前にとなっている場合にもピンとくるようにしておきたい!!
観血的(血が出る)な治療や処置を伴う場合に,心内膜炎予防としてこの処方が出るねん。
ちなみにどんな場合があるのか例を挙げておこうか。わかりにくいもんね?
心臓病のオペの既往歴がある患者が抜歯をする場合
こんなのが代表例です。
そやから,歯科からサワシリンが処方されている患者でかつ,循環器科にかかっている患者さんに出会ったら投薬で聞いたらいいかも。「心内膜炎の予防ですか?」って。よぅ知ってるやん!!って反応が返ってくるわ。
薬剤師として,めっちゃ誇らしい気持ちになれるで☆
おわりに
ということで,アモキシシリン(サワシリン)の溶連菌に対する小児用量,おまけに心内膜炎予防の投与量についてお送りしました。興味深かったんちゃうやろか?
- アモキシシリン(サワシリン)は成人量と小児用量は別にして考える
- 小児用量は1日20mg~40mg(力価)/kg
- 最大用量は最大90mg(力価)/kgを超えないこと
- 心内膜炎予防にも使われることがあり,その場合は成人量でアモキシシリンを処置1時間前に2000mg,小児用量では処置1時間前にアモキシシリン50mg/kgを経口投与する
これらがわかっていたら,サワシリンの小児処方の監査にビビることなく,むしろ「どういう意味で出てるんやろ?」って思えるかも知れへんわ!!
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