SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス)の論文【EMPA-REG OUTCOME】を復習や!

SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス)の論文【EMPA-REG OUTCOME】を復習や!

SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス)の論文【EMPA-REG OUTCOME】を復習や!

もはや完全に今更ながらなぜに?という感じがハンパないのだが、CANVAS試験についても記事として残したいがために、どうせならSGLT2阻害薬で1stインパクトを与えたEMPA-REG OUTCOMEを書かないわけにはいかへんよねっっっ!!!

と勝手に使命感に燃えて目下、ブログ執筆中のけいしゅけです。

SGLT2阻害薬ってなんとなく新しいし、

「尿路感染さえ気をつけたら、効果的にはエエ薬なんちゃいますのん?」

って薬局のスタッフが言うてくるもんやから、

「そのざっくり過ぎる理解でええんか?効果が良いって、何をもって良いって言うん?エビデンスをきちんと理解して話してなきゃ『薬剤師』の説明とは言えないんちゃうの?HbA1cが下がっても死亡率がもし上がる薬やったとしようや。それって良い薬って言える?」

そんな質問を投げかけてしまう。スタッフが静まり返ってしまったので、ちょっと一緒に論文を見ていこうや🎵と自分なりにまとめたノートを開くけいしゅけ。

今回見ていく論文は、

N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28. doi: 10.1056/NEJMoa1504720. Epub 2015 Sep 17.
Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.
Zinman B, Wanner C, Lachin JM, Fitchett D, Bluhmki E, Hantel S, Mattheus M, Devins T, Johansen OE, Woerle HJ, Broedl UC, Inzucchi SE; EMPA-REG OUTCOME Investigators.

・・・・とまぁ、EMPA-REG OUTCOMEですわ。これで全然違う論文出てきたらコケるっちゅうねん。

(ちなみに、循環器トライアルベースも大いに参考にしています。)

EMPA-REG OUTCOMEはエンパグリフロジン(ジャディアンス)が心血管複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)を抑制するか?を研究したもの

けいしゅけ

よっしゃ、ほんじゃぁEMPA-REG OUTCOMEについてPECOを書いてこか~。

これが大事やもんね。

”EMPA-REG OUTCOME” の 5つのチェックポイント

  1. ランダム化されているか?➡ ランダム化されている(ランダム化比較試験:非劣勢試験)
  2. 論文のPECOは何か?
    • P: 心血管疾患のある2型糖尿病患者7,020人(42ヶ国)
      その他の患者背景

      • 18歳以上
      • BMI≦45
      • eGFR:推算糸球体濾過量≧30 mL/分/1.73m²
      • HbA1c 7.0%以上9.0%未満(ランダム化の12週間以前に血糖降下薬の治療を受けていない場合)
      • 7.0%以上10.0%未満(ランダム化の12週間以前に血糖降下薬の治療を受けている場合)
    • E: エンパグリフロジン 10mg/日 もしくは 25mg/日(4687人) を服用すると
    • C: プラセボ投与群(2333人) に比べて
    • O: 心血管複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)は抑制されるのか?
  3. 1次アウトカムは明確か?➡ 明確やね
  4. 真のアウトカムか?➡ 心血管複合エンドポイントが減少=ハッピー。よって真のアウトカムと考える。(死亡率が上がったり健康被害リスクが上がるようなら話は別?)
  5. 盲検化されているか?➡ 盲検化されている(二重盲検)
補足MEMO
補足情報☆

実際に集まった患者の平均年齢は、エンパフロリジン群で63.1歳、プラセボ群で63.2歳だった。

うん、、、18歳以上やな。

平均BMI値は、エンパフロリジン群で30.6、プラセボ群で30.7だった。

ほう、、、BMI25以上で肥満なので、対象患者は肥満患者やったことがわかりますな。

平均HbA1cは、エンパフロリジン群で8.07%、プラセボ群で8.08%だった。

完全にコントロール不良群ですな。

何年間追跡調査したの??・・・追跡機関中央値は3.1年

こんなもんでどうだろうか?

EMPA-REG OUTCOMEの結果は?エンパグリフロジン(ジャディアンス)が示したもの

1次アウトカムとして、心血管複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)の発生率を下げることを示唆した!

  • エンパグリフロジン群で490人 / 4687人=10.5%
  • プラセボ群で282人 / 2333人=12.1%
  • ハザード比HR=0.86 (95%信頼区間 0.74~0.99 ) p<0.001
  • ARR=12.1(%)-10.5(%)=1.6(%)=0.016
  • したがって、NNT=1/0.016=62.5人 / 年

となり、有意差をもって心血管複合エンドポイントリスクを下げることがわかった。

・・・って思ってたんやけど

 

しかし!エンパグリフロジンの用量別(10mg、25mg)に見ると有意差がなくなる

Supplementary Appendix を見ていくと興味深いことが分かってしまった。

1次アウトカムとして、心血管複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)の発生率は有意差がない!

  • エンパグリフロジン10mgで243人 / 2345人=10.4%
  • プラセボ群で282人 / 2333人=12.1%
  • ハザード比HR=0.85 (95%信頼区間 0.72~1.01 ) p=0.07
  • エンパグリフロジン25mg群で247人 / 2342人=10.5%
  • プラセボ群で282人 / 2333人=12.1%
  • ハザード比HR=0.86 (95%信頼区間 0.73~1.02 ) p=0.09

けいしゅけ

なんと有意差が消えてしまうのだ。

つまり、エンパグリフロリジンは心血管複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)のリスクを有意差をもって下げることはない(上げない)

という解釈が正しいデータやねんね。

 

エンパグリフロジン(ジャディアンス)は心血管死の抑制に有意差があった

1次アウトカムの内訳として、心血管死の抑制に関して

  • エンパグリフロジン群で3.7%(172人/4687人)
  • プラセボ群で5.9%(137人/2333人)
  • ハザード比HR=0.62 (95%信頼区間 0.49~0.77 ) p<0.001
  • ARR=5.9(%)-3.7(%)=2.2(%)=0.022
  • したがって、NNT=1/0.022≒45.5人 / 年

となり、有意差をもって心血管死のリスクを下げることがわかった。

これは用量別でも結果が同じやねん。

  • エンパグリフロジン10mg群で90人 / 2345人=3.8%
  • プラセボ群で5.9%(137人/2333人)
  • ハザード比HR=0.65 (95%信頼区間 0.50~0.85 ) p=0.002
  • エンパグリフロジン25mg群で82人 / 2342人=3.5%
  • プラセボ群で5.9%(137人/2333人)
  • ハザード比HR=0.59 (95%信頼区間 0.45~0.77 ) p<0.001

けいしゅけ

ふむ。

つまり、エンパフロリジンは心血管死のリスクを有意差をもって下げることは間違いない

この解釈は絶対的に信頼できるようやね。

かと言って、それは利尿作用によるものかもしれへんからエンパグリフロジンの成分自体が心血管保護作用がある!とは言えない。

エンパグリフロジン(ジャディアンス)は全死亡の抑制にも有意差があった

これも用量別のデータがあるのでみてみよう。

  • エンパグリフロジン10mg群で137人 / 2345人=5.8%
  • プラセボ群で8.3%(194人/2333人)
  • ハザード比HR=0.70 (95%信頼区間 0.56~0.87 ) p=0.001
  • エンパグリフロジン25mg群で132人 / 2342人=5.6%
  • プラセボ群で8.3%(194人/2333人)
  • ハザード比HR=0.67 (95%信頼区間 0.54~0.83 ) p<0.001

心不全による入院や、死亡率が抑制されているところが注目すべきところ

心不全による入院

  • エンパグリフロジン10mg群で60人 / 2345人=2.6%
  • プラセボ群で4.1%(95人/2333人)
  • ハザード比HR=0.62 (95%信頼区間 0.45~0.86 ) p=0.004
  • エンパグリフロジン25mg群で66人 / 2342人=2.8%
  • プラセボ群で4.1%(95人/2333人)
  • ハザード比HR=0.68 (95%信頼区間 0.50~0.93 ) p=0.02

心不全による入院またはCV死(致死的脳卒中を除く)

  • エンパグリフロジン10mg群で133人 / 2345人=5.7%
  • プラセボ群で8.5%(198人/2333人)
  • ハザード比HR=0.66 (95%信頼区間 0.53~0.83 ) p<0.001
  • エンパグリフロジン25mg群で132人 / 2342人=5.6%
  • プラセボ群で8.5%(198人/2333人)
  • ハザード比HR=0.65 (95%信頼区間 0.52~0.81 ) p<0.001

と有意に抑制された。

エンパグリフロジン(ジャディアンス)は心筋梗塞・脳卒中の抑制には有意差がなかった

心筋梗塞について(致死性、非致死性の脳卒中データで、無症候性の心筋梗塞は除く)

  • エンパグリフロジン10mg群で101人 / 2345人=4.3%
  • プラセボ群で5.4%(126人/2333人)
  • ハザード比HR=0.79 (95%信頼区間 0.61~1.03 ) p=0.09
  • エンパグリフロジン25mg群で122人 / 2342人=5.2%
  • プラセボ群で5.4%(126人人/2333人)
  • ハザード比HR=0.95 (95%信頼区間 0.74~1.22 ) p=0.71

けいしゅけ

心筋梗塞の発症率を低下する効果については有意差なし。

心血管死のリスクを下げるけれど心筋梗塞についてはリスクを下げない。

冠動脈に関する何かしらの効果が認められないという事か。

心不全のリスクは下げるから、やっぱり注目点は『利尿による体液(血液量)減少効果』なのではないかな??

脳卒中について(致死性、非致死性の脳卒中データ)

  • エンパグリフロジン10mg群で85人 / 2345人=3.6%
  • プラセボ群で3.0%(69人/2333人)
  • ハザード比HR=1.22 (95%信頼区間 0.89~1.68 ) p=0.21
  • エンパグリフロジン25mg群で79人 / 2342人=3.4%
  • プラセボ群で3.0%(69人/2333人)
  • ハザード比HR=1.13(95%信頼区間 0.82~1.56 ) p=0.46

けいしゅけ

脳卒中については有意差こそないけれど、リスク上昇傾向の結果が出ている。

やっぱり利尿による体液減少⇒脱水が原因かなぁと考察。

このように、1次アウトカムの内訳として、心筋梗塞や脳卒中に関してはリスク抑制に有意差は得られなかったことがデータ上示されてる。

 

有害事象について

性器感染症が

  • エンパグリフロジン群で6.4%
  • プラセボ群で1.8%

と増加した。

まとめてみての考察

自分なりに文献などの資料を見ながらまとめてみた。まだまだしっかりとはできていない感じが否めないんやけど、まぁ良しとしようかな。

1年ほど経った今、再びこの文献をまとめてみたわけやけれど、やはりSGLT2阻害薬について意味がわからんという感覚がある。

心筋梗塞や脳卒中リスクを下げるという有意差を示せないが、心血管死は抑制されてる。心不全による入院などの抑制効果についてもそうだけれど、結局のところは利尿効果による恩恵である気がしてならない。

対象患者さんが肥満であり、心血管イベントリスクが高かったのもあるんちゃうん?っていうのもあるんやけど、この結果って実臨床でホンマに活きるんやろうか?と考えた時に、僕ならあえてSGLT2阻害薬をドクターに処方提案として出すことはできない、できるわけがない!だって・・・

ほんまに効果に対してエビデンスがあるって思えないんやもん!

実際に処方が出ている患者さんに話を聞いてみると、1日中トイレに行きたくなるのがしんどいって言うんよね。

これってQOL下がってやしないか?

とも思えたりして。

もう、誰も文句のつけようがないくらい、寿命が延びます!ってくらいの真のアウトカムがエビデンスとして得られない限りは・・・・。

はい、おしまい。

けいしゅけ

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