妊娠高血圧の診断・治療・飲む薬の第一選択薬は?
本日のテーマは 「妊娠に関連した高血圧」 について。
実は妊娠される女性にとって気にしたいのが、血圧と血糖値なのです。
妊娠時に起こる体の変化でお医者さんもきにするのはココです。
昔は妊娠中毒症なんて言い方もしていたけど、古いのでそんな言葉は忘れましょう。
さて、今回は妊娠高血圧についてまとめていこうと思います。
関連記事☞降圧薬の使い分けを考える
もくじやで☆
妊娠に関連する高血圧の分類
まずはここから。このあたりの定義って覚えては忘れる。そんな範囲ではないでしょうか?
しっかりまとめていこうと思います。
1.妊娠高血圧
妊娠20週以降に初めて高血圧(収縮期140mmHgもしくは拡張期90mmHg以上)が発症し、
分娩後12週までに正常に復する場合。
ポイント:分娩後に正常血圧に戻るという点。あくまで妊娠中に限ってのことである。
2.妊娠高血圧腎症
妊娠20週以降に初めて高血圧(収縮期140mmHgもしくは拡張期90mmHg以上)が発症し、
かつ蛋白尿(基本的には300mg/日以上)を伴うもので、分娩後12週までに正常に復する場合。
ポイント:分娩後に正常血圧に戻るという点。あくまで妊娠中に限ってのことである。
3.子癇(しかん)
妊娠20週以降に初めてけいれん発作を起こし、てんかんや二次性けいれんが否定されるもの。
けいれん発作のおこった時期により、妊娠子癇、分娩子癇、産褥子癇と称する。
4.加重型妊娠高血圧腎症
a)高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までにすでに認められ、妊娠20週以降蛋白尿を伴う場合
b)高血圧と蛋白尿が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降、いずれか、または両症状
が増悪する場合
c)蛋白尿のみを呈する腎疾患が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に高血圧が
発症する場合
妊娠高血圧症候群における重症、軽症の病型分類
軽症
血圧:次のいずれかに当てはまる場合
・収縮期血圧 140mmHg以上、160mmHg未満の場合
・拡張期血圧 90mmHg以上、110mmHg未満の場合
蛋白尿:300mg/日以上、2g/日未満
重症
血圧:次のいずれかに当てはまる場合
・収縮期血圧 160mmHg以上の場合
・拡張期血圧 110mmHg以上の場合
蛋白尿:2g/日以上の時に蛋白尿重症とする。
なお、随時尿を用いた試験紙による尿中たんぱくの判定量は24時間蓄尿検体を用いた定量法との相関性が悪いため、蛋白尿の重症度の判定は24時間尿を用いた定量によることを原則とする。
随時尿を用いた試験紙法による成績しか得られない場合は、複数回の新鮮尿検体で、連続して3+以上(300mg/dL以上)の陽性と判定されるときに蛋白尿重症とみなす
妊娠高血圧、飲める降圧薬って何ですか?あと、治療開始の目安って?
ここまで読み進めていただくとこのような疑問がわくと思います。
何せ書いている私がそうです。
妻の妊娠の時も血圧ってよく測定していた記憶があります。
どのくらいになったら薬を飲むんだろうか?
ってか、妊婦が飲む降圧薬って何??
そう思っていました。なのでそこらをここでしっかりと記載していきますよー。
治療開始ライン
高血圧治療ガイドライン2014によると、妊娠高血圧症候群の薬物治療は通常160/110mmHg以上をもって開始するとあります。
さらに、妊婦あるいは産褥女性に収縮期血圧≧180mmHgあるいは拡張期血圧≧120mmHgを認めた場合は「高血圧緊急症」と診断し、高圧治療を開始する。
緊急に高圧が必要と考えられる場合は静注薬を用いる。👈簡単に言うと注射ですね。
どんな薬を使うの?
妊娠20週未満の場合
第一選択薬は、
メチルドパ(アルドメット錠125mg/250mg)、
ヒドララジン(アプレゾリン錠10mg/25mg/50mg)
ラベタロール(トランデート錠50mg/100mg)
の3種類です。もはやどれも古い薬ですよね!アルドメットくらいじゃないのかな?今も調剤薬局でみかけるとしたら。ほかはあんまり見ないかもしれませんねぇ。
2剤併用の場合の組み合わせは、
メチルドパ+ヒドララジン
ラベタロール+ヒドララジン
の2通りのみです。
妊娠20週以降の場合
第一選択薬は、
メチルドパ(アルドメット錠125mg/250mg)、
ヒドララジン(アプレゾリン錠10mg/25mg/50mg)
ラベタロール(トランデート錠50mg/100mg)
ニフェジピン(アダラート)
ここでアダラートがラインナップに入りました。アダラートは妊婦にOK!これ重要です!!(妊娠20週以降かどうかの確認は必須)
2剤併用の場合の組み合わせは、
交感神経抑制薬(メチルドパ、ラベタロール)+血管拡張薬(ヒドララジン、徐放性ニフェジピン)
と明記されています。
ポイントとして、ガイドラインに記載がありますが
⇒「ニフェジピンは20週以降の妊婦に対しすべての財形で有益性投与となっているが、長時間作用が他の使用が基本となり、カプセル剤の舌下は行わない。」となっています。
だから、アダラートLやアダラートCRの投与がオススメであり、アダラートカプセルの舌下投与はアリエナイ!と覚えておけばいいわけですね。
ちなみに、妊娠の可能性のある女性と妊婦に対してはACE阻害薬、ARBのいずれも原則として使用しない
とガイドラインにバッチリ書いてますので、ここらは常識の範囲にしておきたいですね。
若い女性にACEやARBが出たら、基本的に疑義照会がベターってことでしょう。
患者さんにインタビューして妊娠の可能性や妊婦かどうかの確認をうまくできるコミュニケーション能力が重要だと私は思っています。
若い女性にACEやARBが出たからと言ってすべて疑義照会するのはナンセンス極まりないですよ。
他のβ遮断薬やCa拮抗薬は使えないのか?
これも答えはガイドラインにあります。
他のβ遮断薬、Ca拮抗薬の使用については患者に説明し、インフォームドコンセントをとり、医師の責任のもとに使用する。
このように書かれています。
ですので、妊婦の方、上記にない薬が処方されているからといってそれはすべてが間違いではないです。
ただし、しっかりと説明を受けたかは大事ですのでよく医師の説明をきいておきましょうね。
薬剤師さんは、患者さんにインタビューしたうえでしっかりと説明を受けていないようだと判断した場合には、
ガイドラインの知識を基本として、疑義照会をするようにしましょう。
けいしゅけ
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待ってます!!
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