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グレープフルーツの薬物相互作用メカニズムをトコトン書いてみた

小腸上皮細胞における代謝阻害
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※当ブログはアフィリエイト広告を利用しており,記事にアフィリエイトリンクを含むことがございます

まいど!グレープフルーツの薬物相互作用メカニズムをトコトン書いてみたけいしゅけ(@keisyukeblog)です☆

以前,グレープフルーツに関する記事を書いたのですが,あまりにも長すぎるため後半にまとまりが無くなっていました。

この記事は上記リンクで示した記事の続編です。内容はちょっとオタクっぽいです。

あわせ読みがオススメ

こういった基礎薬学系の記事も合わせて読んでいただく事で楽しめる内容かも知れません。

タコちゅけ

グレープフルーツやその仲間の柑橘類が,250mLなんていう少量のジュースでも薬の効果に影響があることはわかりました☆
でも先生,大事な部分がまだ詳しく理解できてないので教えてほしいんでちゅ。
グレープフルーツの何ていう「成分」が「どんなメカニズム」で薬の効果に影響を与えるんでしゅか?

けいしゅけ

よっしゃ,タコちゅけ。
ホンマに熱心に聴いてくれてるんやねぇ。
ありがとう,僕は嬉しいわ。
前回の記事グレープフルーツジュースと薬を一緒に飲むとダメな理由をおしえます!で,グレープフルーツ(ジュース)はやっぱり薬を飲むときに気ぃつけなアカンな!ってわかってもらえた思うねん。
リクエストにお応えして,続編としてちょっくら専門的な話やけどきっとブログを読んでいらっしゃる皆様も気になっていそうな部分を説明していくわな。

こんなこと気になりませんか?
  • グレープフルーツに含まれる薬の効果に影響を与える原因物質はいったい何?
  • その原因物質は,どんな働きをしてるの!?
  • グレープフルーツの種類によって影響の大きさは変わるのか?
  • リンゴジュースやオレンジジュースが薬の効果に影響を与えることはあるの?

前回に引き続き,ちゃんと論文も調べまくってます🎵

さぁ,いきましょう!

目次

グレープフルーツと薬の相互作用の原因物質とメカニズムとは?
~「フラノクマリン類」と「CYP3A4阻害作用」,「フラボノイド」と「OATP2B1の阻害作用」~

この項目で伝えたいことのまとめ

  1. グレープフルーツが薬の効果に影響を与える主な成分はフラノクマリン類である
  2. フラノクマリン類が薬の作用に影響を与えるメカニズム ~CYP3A4の阻害作用による効果の増強~
  3. フラノクマリン類のCYP3A4阻害作用によって効果が強まる影響を受ける薬の一覧
  4. グレープフルーツに含まれる薬の作用に影響を与える成分はフラノクマリン類だけじゃない!
    リンゴやオレンジにも含まれるフラボノイドも薬の作用に影響するのだ!!
  5. フラボノイドが薬の作用に影響を与えるメカニズムと影響を受ける薬「フェキソフェナジン」 ~OATP2B1の阻害による効果の減弱~

グレープフルーツなどの薬の効果に影響を与える柑橘系くだものに含まれる成分とは何か?~フラノクマリン類の解説~

ここからは,グレープフルーツ(ジュース)などの薬との相互作用が示されている柑橘系果物に含まれる成分を解説していきます。

その成分とは,フラノクマリン類ですっ!

お察しの通り, ”類” と付くので1種類とは違います。

フラノクマリン類とは?そして,代表的な2種類を知ろう!

フラノクマリンってなんですか?

これは完全にWikipediaなんかで調べるのが手っ取り早いので引用しますね。

フラノクマリンまたはフロクマリン(英: furanocoumarin, furocoumarin)類は,様々な植物によって産生される有機化合物の一種である。

~略~

フラノクマリンの化学構造は,フラン環とクマリンが縮環した構造をしている。

フラン環が様々な方法で縮環することによって,いくつかの異性体が生成する。

最も一般的な2つの母核構造はプソラレン (psoralen) およびアンゲリシン (angelicin) である。

これら2つの母核構造の誘導体は,それぞれ直線型 (linear) フラノクマリン,角度型 (angular) フラノクマリンと呼ばれる。

~略~

フラノクマリン – Wikipediaより引用・抜粋
フラノクマリン類の基本骨格①プソラレン
フラノクマリン類の基本骨格①プソラレン
フラノクマリン類の基本骨格②アンゲリシン
フラノクマリン類の基本骨格②アンゲリシン

クマリン類は生物学的効果を示すという事がポイントです☆本記事であれば,「薬の効果に影響を与えること」ですね。

それでは単刀直入に書いていきましょう。

グレープフルーツやその類似する柑橘類に含まれるフラノクマリン類で大事なのは2つです!

  1. ベルガモチン
  2. ジヒドロキシベルガモチン

これらが薬の効果に影響を与える原因物質の正体です。

PMID:93518979352575954879510859150111800341559233216685052

フラノクマリン類が薬の作用に影響を与えるメカニズム ~CYP3A4の阻害作用による効果の増強~

けいしゅけ

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類のベルガモチンとジヒドロキシベルガモチン。
これらが薬の作用に影響を与えるメカニズムをカンタンに説明するで!

ベルガモチンとジヒドロキシベルガモチン,これらは僕たちの体のどの部分にどうやって作用することで薬の効果に影響を与えるのでしょうか?

Bailey DG 先生が1997年に発表した論文 2) に答えがありましたよね。

フラノクマリン類は「小腸」で「(薬の代謝に関わる)CYP3A4(っていう酵素)の働きを選択的に抑制する」

 PMID:7628179,7768070,9174684

これによって本来ならば,薬が体に吸収されて血液中に入り込むまでに小腸で一定量が代謝されてしまっていたのに,代謝する酵素(CYP3A4)が邪魔をされたことで必要以上に多くの薬の成分が体の中に取り込まれてしまうわけです!

小腸におけるCYP3A4の薬物代謝をグレープフルーツなど由来のフラノクマリン類が阻害する図
小腸におけるCYP3A4の薬物代謝をグレープフルーツなど由来のフラノクマリン類が阻害する図
タコちゅけ

(クソへたくそな絵でちゅ・・・)
先生,絵心ないでしゅね・・・。

けいしゅけ

うむ。
イメージする図を作ろうとしたけどうまくいかないから絵にしてみたわ。
ど下手くそで申し訳ないんやけど,言葉で伝えるよりも図解したかってん。
大事なのは,フラノクマリン類によるCYP3A4阻害作用って,血液中に入った薬が肝臓でのCYP3A4による代謝を受けにくくなるんじゃないって事や!

まとめるで~

  1. 小腸のCYP3A4によって代謝されて効果を失うはずの薬が,フラノクマリン類によって小腸に発現しているCYP3A4が邪魔されて,ほぼ全く代謝されずに血液中に突入してしまう
  2. その結果としていつも以上に多くの量の薬が血液中に入ってしまって効果が強く出過ぎてしまい,結果として副作用も出やすくなってしまう!!

PMID:771529577680701110374911180034 ,15592332

2020年…ついにイラストをデジタル化しました!

けいしゅけ

どやーぁぁぁぁ!!!

タコちゅけ

ナイスなイラストぉぉぉぉぉ!!!

フラノクマリン類のCYP3A4阻害作用によって効果が強まる影響を受ける薬の一覧

  • カルシウム拮抗薬
  • 抗白癬菌薬
  • マクロライド系抗生物質
  • シクロスポリン
  • トリアゾラム

よく見ますよね?こういうの。

でもね,

数が多くてとてもじゃないけど書ききれへんわ!!

ってことで,網羅しているサイトを紹介します。

SuperCYP

このリンクをクリックすればCYP3A4によって影響を受ける薬が網羅されています。

もちろん,他のCYPによる影響を受ける薬も検索可能!これは使うしかないで!!

グレープフルーツに含まれる薬の作用に影響を与える成分はフラノクマリン類だけじゃない!
リンゴやオレンジにも含まれる「フラボノイド」も薬の作用に影響するのだ!!

実は当初はグレープフルーツによる薬の効果への影響はフラボノイドは関係ないとされていました。

しかし,その後の研究でやはりフラボノイドが薬物相互作用に関係することがわかったんです!

PMID:280323622066453423264447231326641564037817112309

けいしゅけ

多くの論文を読み進めて行くと,どうやらフラボノイド類が有機アニオントランスポーターペプチド2B1(OATP2B1)に影響を与えることが分かってん

特にPMID:23132664のMajor active components in grapefruit, orange, and apple juices responsible for OATP2B1-mediated drug interactions.

という論文では以下のような文章が載っています。アブストラクトを引用します。

We aimed to explore the major active components in grapefruit juice (GFJ), orange juice (OJ), and apple juice (AJ) that are responsible for OATP2B1-mediated drug interactions, by means of in vitro studies using Xenopus oocytes expressing OATP2B1 with a typical OATP2B1 substrate, estrone-3-sulfate.

All three juices inhibited OATP2B1-mediated estrone-3-sulfate uptake with half-maximum inhibition (IC(50) ) values of 0.222% (GFJ), 0.807% (OJ), and 2.27% (AJ).

Eight major flavonoids (naringin, naringenin, hesperidin, hesperetin, phloridzin, phloretin, quercetin, and kaempferol) contained in the juices inhibited OATP2B1-mediated estrone-3-sulfate uptake with IC(50) values of 4.63, 49.2, 1.92, 67.6, 23.2, 1.31, 9.47, and 21.3 µM, respectively.

When the concentration-IC(50) ratios ([C]/IC(50) ) of these flavonoids in GFJ, OJ, and AJ were calculated, values of [C]/IC(50) ≥ 100 were obtained for naringin in GFJ and hesperidin in OJ.

No flavonoid in AJ showed a ratio higher than unity.

However, significant inhibition of OATP2B1 was observed with a mixture of phloridzin, phloretin, hesperidin, and quercetin at the concentrations present in AJ.

In conclusion, our results indicate that naringin and hesperidin are the major OATP2B1 inhibitors in GFJ and OJ,

respectively, whereas a combination of multiple components appears to be responsible for OATP2B1 inhibition by AJ.

論文が言うてることは以下の通り
  • アップルジュースが最もOATP2B1を阻害する
  • 次に強くOATP2B1を阻害するのはオレンジジュースで,グレープフルーツジュースの阻害作用はこれらより弱かった
  • 原因となるフラボノイドは複数のフラボノイドの混合物である
  • オレンジジュースとグレープフルーツジュースは,ナリンギンとヘスペリジンというフラボノイドによってOATP2B1を阻害しているようである

ざっくり言えば,こんな感じです。

花粉症の薬が効果減弱する!?影響を受ける薬は「フェキソフェナジン(アレグラ®)」
フラボノイドが薬の作用に影響を与えるメカニズムに迫る ~OATP2B1の阻害による効果の減弱~

OATP2B1 (organic anion transporting polypeptide 2B1) っていう論文なんかを見るとすごくわかりやすく載っていますが,腸に発現しているOATP2B1によって,フェキソフェナジンは血中に取り込まれます。(ただし,詳しいメカニズムは完全に解明されていない)

ひとまず,OATP2B1によって腸管から「アレグラ」という商品名でおなじみの抗アレルギー薬の成分,フェキソフェナジンは体に取り込まれます。しかし,先ほどの導入部分で書いた通り,フラボノイドを含むフルーツジュース(アップルジュース,オレンジジュース,グレープフルーツジュース)によってOATP2B1はその働きを邪魔されることがわかりました。

個人差はあるものの,50%も効果が落ちてしまったというデータがあります。PMID: 11823753

フルーツジュースによって薬の効果に影響が出るかは個人差が大きい

タコちゅけ

先生,かなり詳しく説明していただいたおかげでだいぶわかったんでちゅけど,
フルーツジュース飲むのが嫌になりそうでちゅ!
薬の効果に影響がありすぎましゅよ~!!

けいしゅけ

タコちゅけ。
たしかに,薬の効果に影響を与えることをここまで熱心に聞いてくれたら心配になってまうやんな?
ある意味ではそれくらいに用心する気持ちを持つ事って大事や。それでええんとちゃうか?
ただな,この薬への影響ってめっちゃ個人差があるねん。
そやから,「いままでフルーツジュースと飲んでも大丈夫やったで!」って患者さんに出会う事もたっくさんあると思うわ。
一方で,「めちゃくちゃ具合が悪くなったことあるねんわぁ」って患者さんに出会う事もあると思う。
個人差があるからこそ,一人一人の患者さんにきちんと説明をしながら,今までの経験でジュースで薬を飲んで調子が悪くなったことはないですか?とかって聞くことが大事なんかも知れへんで?

タコちゅけ

わかりました。
ひとまず,フルーツジュースと薬の相互作用って意外とあるんでちゅね!
って事を勉強できましたし,個人差があるってこともわかり・・・あれ?個人差があるって根拠,教えてもらってないでちゅ!!

けいしゅけ

するどいなぁおいっ!!
わかった,説明するわ。

ここまでの説明で,グレープフルーツをはじめとしてフルーツジュースが薬の効果に影響を与えることはご理解いただけたと思います。

それでは最後の仕上げとして,そうした影響は実は個人差があるという話をしていきますね。タコちゅけ,抜かりないですねぇ。

ちなみに個人差があるのはOATPではなく,やはりCYPの方なんです。

PMID:106688581022377616685052

あたりを眺めてみましょう。薬の効果の出方は個人間でメッチャクチャ差が激しいとの結論が得られています。

一方で,現在は販売中止になっているテルフェナジンという薬に関しては例外的に過去に副作用が強く出たことによる死亡例が報告されているものの,他の薬について効果が出過ぎたことによる健康被害の例が示された論文は見当たらないんです。(もしあればご指摘をいただけると幸いです。)

なので,あまり過敏になりすぎないこともまた,大事なのかもしれません。


けいしゅけイチオシ勉強サイト


今回の記事はここまでや☆

最後まで読んでくださってホンマおおきにっ!!お時間を使って読んでくださったことに心から感謝申し上げます!

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小腸上皮細胞における代謝阻害

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